背番号18のプライドを、白球で示した。楽天田中将大投手(32)がレギュラーシーズン最終登板でオリックス山本と初の投げ合いに臨み、8回2失点(自責1)と好投した。国内では8年ぶりに登場曲をファンキーモンキーベイビーズの「あとひとつ」に採用。7月13日以来、国内自身ワーストの10戦勝利なしでの9敗目を喫したが「今年一番よかった」と手応えを得た。

これまで以上に球に力がこもった。初回からこの日最速150キロを計測。右打者の外角へ「そこに自然と球が行くような投げ方で投げられた」と直球、スライダーを的確に集め、4回まで1安打と圧倒した。

ただ、勝利の女神は、そっぽを向いた。5回2死二塁で紅林の弱い打球は三遊間をすり抜けた。7回2死一、三塁でも紅林を内角直球で詰まらせたが、打球は滑り込む右翼手のグラブを抜けた。「あれはどうしようもできない。運、ツキがなかった」と割り切った。

8年ぶりに日本球界へ復帰し、4勝9敗、防御率3・01と負け越した。チームは3位。「迷惑をかけた。自分自身の思いだけでどうにかできるほど簡単なことじゃない」と責任は痛感するが、リベンジの機会はすぐに訪れる。「開き直って、勢いに乗ったもの勝ち。切り替えていい準備をしたい」。このままじゃ、終われない。【桑原幹久】

▽楽天石井GM兼監督(オリックス山本に4安打完封負け)「終始主導権を握られてしまって、苦しい対応になってしまった。割り切ってアプローチしていかないといけない。そこからは能力勝負。割り切った中でどれだけ打てるのか」