引き立て役になるな! 日本ハム新庄剛志監督(49)の初陣になる2月8日の練習試合(宜野座)について、阪神井上一樹ヘッドコーチ(50)が自軍選手に主役奪取の大号令を発した。19日に12球団監督会議が行われ、矢野監督とともにオンラインで参加。「選手に高い襟のユニホーム着させるわけにはいかない」と、BIGBOSSによる話題独占を断固阻止。若手にアピールを求め、主力や外国人らの出場も否定しなかった。

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何十台ものカメラが新庄監督を追い、一挙手一投足がお茶の間の関心事になる。BIGBOSS一色になりそうな「2・8」に、阪神井上ヘッドが堂々と待ったをかけた。阪神、日本ハムともに今季初の対外試合。同ヘッドは「かませ犬」だけは断固拒否した。

井上ヘッド どう考えても新庄監督、新庄監督ってなるのかもしれないけど、あいつら(阪神の選手)に高い襟のユニホームを着させるわけにはいかない。それはプレーで、「今年は阪神にあんな生きのいいやつがいるぜってアピールしろ」ってことは言うけどね。こっちも新庄監督が今年どういうことをするのかと楽しみだし、メディアは一番ホットなものを流したり、載せたりするのが好きだから。こんなにいい話題ありましたよと、ホットな話題を作れるようにしますよ。

高い襟-とは新庄監督の就任会見で話題になった特製シャツのこと。独特の表現は「新庄一色にするなよ」のメッセージにほかならない。インパクトに欠けたプレーで引き立て役で終わるようでは情けない。

相手が誰であろうときわめて重要な一戦になる。矢野監督は「中堅・近本」以外は立場を約束していない。大山、佐藤輝による4番&三塁争いなど投手・野手ともハイレベルな競争を求めている。外国人やルーキーの見極め時期にもなる。矢野監督は新庄監督からの「監督入れ替わり」という仰天提案も断った。

監督の思いをくむ井上ヘッドは「森木とか、あのへんが1軍なのか2軍なのかとまだ決めていないところ。即戦力でという選手だったら、ふるいにかける対象だから」と真顔で言う。さらに主力やベテラン糸井、外国人にまで言及。体調次第とは前置きしたが「健康で、オフはしっかりやってきてるんだろ、行けるだろ、というなら、もちろん出す。出るっていうでしょ。普通」と当然のように言い切った。

逆に言えば、こんなアピールの場は2度とない。BIGBOSSから新聞の1面を奪うような話題が生まれるか。ガチンコで主役の座を奪いにかかる。【柏原誠】

◆阪神近年の初対外試合

▼新助っ人活躍 04年、岡田監督の初采配となった広島との練習試合で、新外国人キンケードが3ラン。ノーサインのイケイケ野球で14点を奪い大勝した。18年にはDeNA戦でロサリオが初打席の初球を左翼へ運び去った。

▼1発攻勢 「超変革」を掲げる金本監督の初陣となった16年の楽天との練習試合では、ベテラン西岡の1発に始まり、陽川、横田の若手も続き、4発12点の快勝。

▼完勝デビュー ドラフト1位の近本が19年初戦の楽天戦でいきなり三塁打含む2安打の活躍。矢野監督の初陣勝利を呼び込んだ。楽天ではドラフトで外れ1位で競合して外した辰己も先発していたが4打数無安打。社高の後輩に完勝デビューだった。

▼衝撃弾 21年の初戦は宜野座での日本ハム戦。ドラフト1位新人佐藤輝が右翼へ豪快な2ランを放つなど3安打3打点の大暴れ。衝撃のデビューを飾った。