巨人期待の2年目右腕、山崎伊織(23)が2年半ぶりに実戦マウンドに降り立つ。9日、桑田投手チーフコーチが11日の紅白戦先発を山崎伊と堀田が務めると明かした。山崎伊は東海大4年時の20年6月にトミー・ジョン手術を受け、プロ入り後も復帰へのステップを踏んできた。大学3年秋以来となる実戦登板へ、この日はブルペンで最終調整した。

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投手陣全体で取り組むコースの投げ分け「ライン出し」を1球目から行った。「1球目が大事だと思っている。調整することなく、初球から投げられるように」。ブルペン投球の開始時はコースを意識せずに試運転する投手もいるが、山崎伊はゲームを想定した入りだった。30球以降は力を込め、ばらつきも見られた。だが締めの59球は会心のアウトローに決めた。「うまくコースを狙ってライン出ししている感覚で強いボールを投げるのが課題です」と自己分析も明確だ。

菅野の観察も受けた。大学の先輩でもあるエースは昨年11月のシート打撃の登板もチェック。助言を受け、プレートの踏む位置を三塁側から真ん中に移した。「僕の球種と特徴に合わせてアドバイスしていただいた。内外角に、今のところはうまく投げられていると思う」と好感触だ。

紅白戦登板前にフリー打撃やシート打撃で打者相手に感覚を確かめる投手が多い。だが2年半の空白がありながら、山崎伊はブルペンから紅白戦に直行する。ジャンプ男子個人ノーマルヒルで己の感覚を信じ、試技なしで本番に臨んだ金メダリスト小林陵侑にも重なる。山崎伊が復活へのV字ジャンプを描く。【広重竜太郎】

巨人桑田投手チーフコーチ(山崎伊と堀田の紅白戦先発に)「監督にも見てもらいたいし、彼らに先発の作り方を意識して投げていってもらいたい。彼らは今年じゃなくて3年後。トミー・ジョン明けの1年目という認識。その中でも先発の柱になれるようにスタートとして先発でいきたいという、僕の思いです」