阪神ドラフト4位の前川右京外野手(18=智弁学園)が開幕1軍をかけ、“福岡2番勝負”に臨む。

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お試し1軍で初出場した13日の巨人戦で鮮烈のマルチ安打デビュー。急きょ15日からのソフトバンク2連戦(ペイペイドーム)の同行が決まった。オープン戦ラストとなる18日からのオリックス3連戦(京セラドーム大阪)は本番モードが想定され、福岡での2試合が運命を左右する。背番号58が大逆転1軍を奪いにいく。

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大逆転での開幕1軍チャンスが巡ってきた。福岡への移動を前に、18歳の前川が目を輝かせた。「グラウンドに立ったら1年目とかは関係ないと思う。自分らしく堂々としっかり試合に入って、結果が出ても出なくても必死にプレーして、たくさん学んでいきたい」。自分の打撃を貫き、千載一遇のチャンスをつかみ取る意気込みだ。

7番左翼で1軍初出場した13日の巨人戦で、74年掛布雅之以来となる球団高卒新人のマルチ安打デビュー。当初はお試しの意味合いが強かったが、2安打ともフォークをさばくなど柔軟な打撃にホレ込んだ矢野監督が「もっと見たい」と急きょ、15日からのソフトバンク2連戦同行が決まった。オープン戦は残り5試合。18日からのオリックス3連戦は公式戦本番モードが見込まれ、生き残りには福岡での2試合が勝負になる。前川は謙虚に腕ぶした。

「1軍でプレーさせてもらえるチャンスをいただけたのでしっかり学んでいきたい。濃い1打席1打席を送っていきたい」

運命を決める福岡は「今まで行ったことがない」という未知のビジター。初戦は昨季開幕投手で実績十分の石川、2戦目は先発の一角を担う最速153キロの松本で、公式戦モードの両右腕が投げてくる。初戦はベンチスタート見込みだが、2戦目はスタメンの可能性も十分。結果を出せば、開幕1軍がぐっと近づく。

首脳陣の期待値も高まる。井上ヘッドコーチは「下半身がしっかりしてて、面構えもいいじゃん。Vシネマの悪役で出てきそうなさ。ちょい役とかでさ。あれもいいよね。野手17人分の1を獲得する可能性はある」と新人らしからぬ風格も武器とジョークを交えて指摘した。開幕シリーズは先発陣を登板当日に登録する分、より多く登録できる野手は17人で臨む方針。現在の1軍野手はちょうど17人で、2軍調整中の中野を入れても18人の“広き門”。インパクトを残せば、開幕1軍の可能性は十分ある。

ドーム球場は、津ボーイズ時代の中3時に出場した「第6回中日ドラゴンズカップ2018」でナゴヤドームを体験。高校通算37発、昨夏の甲子園で2本塁打を放ったスラッガーにとっても、浜風のないペイペイドームは一発や長打を狙いやすい好条件がそろう。全力で開幕1軍切符をもぎ取りにいく。【三宅ひとみ】

 

◆前川の13日巨人戦VTR オープン戦初出場は「7番左翼」での先発。2打席凡退で迎えた7回1死一塁で、右腕の戸田に0-2と追い込まれたが、落ち切らないフォークをさばいて右前にプロ初安打を運んだ。9回2死の第4打席は右腕直江のフォークの落ち際を拾って中前へ。高卒新人では74年掛布以来となる、オープン戦マルチ安打を決め、甲子園の今季最多1万5994人の観衆を沸かせた。「球場の歓声がすごくて、うれしかったです。自分がやるべきことはしっかりできたかなと」と、初々しく声を弾ませた。