緊急事態で昇格してきたサブマリンが、緊急降板のピンチを救った。

西武2番手与座海人投手(26)は急に出番が巡ってきた。2回1死満塁。先発スミスが甲斐に四球を与えた直後、右脇上部の違和感によって、マウンドに送り出された。

ブルペンで肩を作ったのは、そのアクシデントが発生してから。キャッチボールを約10球、捕手を座らせて約5球の“超早仕上げ”。ただ、任されたことを「意気に感じた」。体は万全のアップではなかったが、気持ちで補った。膝下から浮き上がる独特の軌道の球に魂を込めた。三森は浅い右飛、野村勇も右邪飛に仕留めた。完璧な仕事で追加点を許さなかった。

そのまま5回まで投げ、勝利投手に。3回2/3で5安打を浴びたが、失点は柳田のソロだけと要所で粘った。4回は先頭今宮に安打を許すも、甲斐のバント処理で併殺。小フライを捕りきれず、後ろにこぼしたが、素早く二塁送球。それでも間に合ったのは鋭いダッシュで一走今宮のスタートを遅らせていたから。力を入れるフィールディングで自らを救った。辻監督も「見事な投球だった」と働きに目を細めた。

1軍昇格も、まさに急きょの形だった。中継ぎで好投を続けていた宮川、水上が24日にコロナが判明し、2軍から呼ばれた。貴重な左腕だった佐々木も含め、コロナで救援陣は3枚抜けの厳しい緊急事態だった。ただ同じく“代役”として上がってきた本田も2点リードの7回を3人で抑え、まさに苦しい台所事情を感じさせない。与座は「こういう立場。1球1球全力で投げた」と充実の汗をぬぐった。

開幕は6枚目の先発としてローテーション入りしたが、5回途中4失点だった3月31日の日本ハム戦後に2軍落ち。ファームでは高めのつり球とシンカーを重点的に調整し、まさかの巡り合わせで転がり込んできたリベンジの1軍の舞台で結果を出した。4月2日以来となるチームの勝率5割復帰の立役者になった。【上田悠太】