ああ、もどかしい…。7連勝を狙った虎がゴールデンウイークの甲子園で猫になった。

ヤクルト先発小川を打てず今季7度目の完封負け。3点を追う6回2死二、三塁の好機で三邪飛に倒れた佐藤輝明内野手(23)が、悔しさをあらわにする場面もあった。3年ぶりに満員札止めとなった4万2483人の甲子園で残念すぎる完敗。輝よ、虎ナインよ、2日連続チケット完売の今日こそ、子どもたちに笑顔を届けてくれ!

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佐藤輝は思わずバットをたたきつけようとした。だが、大勢の子どもたちを意識してか、何とかこらえた。それでも勢いで放り投げた黒と白のツートンカラーの愛棒は地面にはずみ、むなしく転がった。悔しさは隠せなかった。

0行進が続いて3点を追う6回2死二、三塁。1発出れば同点の絶好機で回ってきた。入場制限解除で3年ぶりに満員札止めとなった甲子園のボルテージは最高潮。輝、頼むぞ…。だが、小川にオール直球勝負を挑まれた6球目、146キロの内角高めに詰まって力ない三邪飛に倒れた。ファンのがっくり感と、そして背番号8のフラストレーションもマックスだった。

最大の得点機を逃すと、9回まであれよあれよと0行進。矢野監督にも悔しさがにじみ出た。「うーん、まあ真っすぐがね、結構、割合的に多かった。コーナーにも来ている感じはあったのかなと思うけど、それでもね、ゼロじゃね」。

小川は3月25日の開幕戦で3回で11安打4得点と打ち込んだ。だが、この日は緩急巧みな投球に的を絞らせてもらえなかった。得点圏に走者を進んだのは6回の1度だけ。今季最短タイの2時間24分。7連勝どころか、あっという間の7度目完封負けだった。

「ゴールデンウイーク こどもまつり」と題された3連戦の初戦。子どもたちの姿も目立った。試合前の練習中には矢野監督が、見学していた子どもたちに歩み寄り、スローガンなどが書かれたカードを配る場面もあった。佐藤輝も「子どもたちがたくさん来ていると思う。いいところを見せられるように頑張ります」と意気込んでいたが、初回も併殺打に倒れるなど無念の4の0に終わった。

破竹の6連勝で上げ潮ムードだったが、思わぬ完敗で進撃が止まった。矢野監督は「だから悔しい。喜んで帰ってもらいたいなぁと思ってたけど。悔しい、残念。まあ、明日、あさってね、喜んで帰ってもらえるように、頑張ります」と力を込めた。再び借金11で最下位の現実…。それでも4日のチケットも完売している。佐藤輝も悔しさをバネに奮起を誓っているはず。スタンドから目を輝かせる子どもたちに、きょうこそ白星を届ける。【桝井聡】

▼阪神が今季7度目の完封負けを喫した。過去6度はいずれも継投によるもの。小川に今季初めて完投シャットアウトを許した。これは昨年8月20日の中日戦(バンテリンドーム)で柳に喫して以来。甲子園に限ると、20年9月23日DeNA上茶谷に許して以来となった。

▼阪神は小川と通算30試合で対戦し、10勝を許しながらも11敗をつけ、負けを先行させている。防御率も4・01と平凡な数字だ。ところが許した完封は計3度。これは小川にとって、広島戦と並び自身最多となっている。

▼現在のペースで完封負けが増え続けると、年間143試合換算で31度に達する。球団最多の63年24度を上回る勢いだ。

 

○…糸井がコンディション不良で欠場した。試合前練習に参加したがシートノックは受けず、ベンチスタート。最後まで出番が回ることはなかった。矢野監督は「コンディションがちょっと整っていないんで」と軽症を強調し、登録抹消には至らないもよう。井上ヘッドコーチも40歳の大ベテランに「連敗中でも、連勝中でも引っ張ってくれた。疲労の部分もある。良くなったら、すぐスタメンに名を連ねる形になってほしい」とコメントした。

○…一塁大山は好守で観客を沸かせた。3点ビハインドの5回表2死、青木の頭上へのライナーをジャンピングキャッチ。ミットの先っぽギリギリでボールを拾い、安打を防いだ。ただ、4番打者としてはヤクルト小川の前に4打数無安打。9回2死一塁では右飛で最後の打者となり、悔しい1日になった。

○…前試合の5番から2番に戻った中野がチーム唯一の2安打で気を吐いた。1回の第1打席で小川の内角高めの球を捉えて中前へ。0-3で迎えた9回1死は小川の内角低めを右前にはじき返した。ここまで32試合で猛打賞3度、マルチ安打6度、打率2割8分7厘、7盗塁と安定した成績を残している。

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