キャプテンの復活祭だ。巨人坂本勇人内野手(33)が「日本生命セ・パ交流戦」の西武戦で美しすぎる復帰を遂げた。右膝の故障から40日ぶりに1軍に合流。「5番遊撃」でスタメン出場し、先制適時打を含む3安打猛打賞の大活躍でチームの連敗を3で止めた。前夜、準完全リレーを食らい沈黙した打線は2ケタ13安打で息を吹き返した。山賊に打ち勝ち、キャプテンの快気を祝った。

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キャプテンここにあり。坂本は1軍復帰を自らのバットで祝い、湿りきっていたチーム打撃もよみがえらせた。

ブランクなど、どこ吹く風。右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷による離脱から40日ぶりの1軍打席も、1打席目から3連続安打で悠々と猛打賞を記録した。

第1打席から快音を響かせる。2回先頭、カウント1-2から西武先発隅田の148キロ外角直球を右前へ流し打ちし、チーム初安打。前日、西武に1安打のみの打者27人で敗戦する“準完全試合”を喫していた打線に刺激を与えた。

3回の第2打席では先制適時打を放つ。2死一、二塁。カウント2-1から隅田が投じた外角低めへの119キロチェンジアップを左前へ。42日ぶりの適時打に「1軍に戻ってきた復帰戦で先制タイムリーが打てて良かった」と喜んだ。

5回無死一塁では中前打。4月19日の広島戦(東京ドーム)以来の猛打賞となった。これで通算174度目の猛打賞となり、歴代7位の立浪和義(中日)にあと1度と迫った。

1回、守備に就くと帽子を取って一礼。方向は西武ファンが陣取る三塁側スタンドにも向けられた。敵地からも送られた大きな拍手に深々と、頭を下げた。

一礼-。ファーム調整中でも同じような光景が何度も見られた。キャッチボール、ティー打撃、フリー打撃。あらゆる練習の最後に担当したコーチ、スタッフに頭を下げた。ノックを受けた後にはトンボを手に取った。守備練習で荒れた土のグラウンドを自ら整地した。

40日間という長期離脱。巨人の主将といえど不安があった。「上でちゃんと守れるかどうか。やはり1度(試合から)離れると体のキレだったりと、不安はあります」。解消するにはファームで「やれることをやるしかなかった」。

主将が戻り3連敗でストップ。「チームの結束がさらに固くなったか」と問われ「たまたま勝ったからそう見えるんですよ」と照れながら、久々の勝利をかみしめた。【三須一紀】

<坂本復帰までの道のり>

◆4月30日 阪神戦(東京ドーム)の守備で右膝を負傷

◆5月1日 出場選手登録を抹消され、ファームで調整

◆同25日 3軍戦で実戦復帰。2打数無安打

◆同26日 3軍戦で実戦復帰後初安打。2打数1安打

◆同28日 イースタン・リーグ楽天戦で2打数1安打。2試合連続安打

◆6月7日 同・ロッテ戦で実戦復帰後初めて守備につく

◆同8日 同・ロッテ戦の第1打席で実戦復帰後初長打となる右中間二塁打

▼坂本が4月19日広島戦(4打数3安打)以来、今季3度目の猛打賞(1試合3安打以上)。猛打賞は通算174度目となり、歴代7位(セ・リーグ2位)の立浪和義(175度)にあと1度と迫った。

▽巨人原監督(1軍復帰戦で3安打猛打賞、1打点の坂本に)「存在感をしっかりと見せてくれて、いいスタートを切ってくれたなという感じですね。(リハビリ期間は)いい時間を過ごしたと思いますよ。結構時間を取ったわけだし、最後までいてくれるといいですね」

▽巨人岡本和(同点の5回無死二塁で勝ち越しの左前適時打)「後ろが(坂本)勇人さんだったので、良い形で次につなぐことを考えていました。結果としてタイムリーになって良かったです」

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