ついに止まった。阪神近本光司外野手(27)が7日広島戦(甲子園)で4打数無安打に終わり、連続試合安打は「30」で途切れた。

「31」に伸ばせば11年マートンの球団記録を抜き、プロ野球では46年野口二郎(阪急)、15年秋山翔吾(西武)に並ぶ歴代3位タイとなったが、甲子園はため息に包まれた。チームは今季16度目の完封負けで、連勝は3でストップ。3位浮上を逃した。

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偉業への道が断たれた瞬間、甲子園がこの日一番のため息に包まれた。3打数無安打で迎えた3点を追う9回1死の第4打席、投手は広島守護神の栗林。1球1球熱気が高まっていく中、カウント2-2からの7球目、真ん中低めのカーブを捉えきれず、打球は転々と二塁へ。全力疾走で駆け抜けるも、球団新記録へあと1歩届かなかった。

ただ、球団史に名を刻んだことは揺るがない。球団を通じ「こんだけ長いプロ野球の歴史で名前が載るのはすごく光栄に思います。でも『やっぱりそこで止まっちゃう自分なんだな』っていうのは守備しながら思ってました。『普通の選手だな』って思いながら守ってました」と話した。

計り知れない重圧がのしかかる中、最後の打席では時折笑顔が垣間見られた。捕手磯村から「野球楽しんでるんやなあ」と声をかけられたという。笑顔の裏には、野球を心から楽しみ、周りへの感謝の思いがあふれ出たからだった。

「打てなかったのはすごく申し訳ないという気持ちもありますけど、特に4打席目は球場の雰囲気とか、自分に対するプレッシャーとか感じながら、すごく打席が楽しくて。『こんな中で野球をやれているんだな』と思いながら打席に入った。これがプロ野球選手をやることにもつながってくると思う」

近本の記録が途絶えると同時に、チームの連勝も3でストップした。アンダーソンを攻略できず、6回以降は出塁なしで、今季16度目のゼロ封負け。5回1失点と力投したルーキー左腕桐敷を援護できなかった。矢野監督は「(助っ人右腕に)変化球をうまく使われた感じはあったんかな。ちょっと的が絞りにくくなった」と肩を落とした。

七夕の夜に、家族、友人を始め、チームメートや多くのファンが「打ってくれ」という願いは届かなかった。ただ、近本はすでに次へと目を向けていた。「僕の中ではやりたいことができなかったので、早く終われって思ってました。次のステップにと思ってたんで。明日から新しい自分で挑戦できるんで、楽しみです」。まだ27歳。挑戦への歩みを止めない限り、チャンスはまた出てくる。【古財稜明】

 

○…大山がまた広島右翼手中村健の超ファインプレーに阻まれた。2回無死二塁、大山の打球は右中間を抜けようとしたが、必死にグラブを伸ばした中村健がキャッチ。抜けていれば確実に1点入り同点の場面だった。中村健には6月23日のマツダスタジアムでも同点の9回2死一、二塁で右翼への大飛球を転倒しながらバックハンドキャッチされ勝ち越せなかった。

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