祭りは続く。広島新井貴浩監督(46)が「2023JERA クライマックスシリーズ セ」のファーストステージ突破に導いた。2-2の8回無死満塁で代打田中がDeNA上茶谷から決勝打を放った。第1戦に続いて接戦を制して2連勝。早めの継投、積極的な代打策と指揮官の采配に選手たちが応えた。75年に球団初優勝した同じ日に5年ぶりのファイナルステージ進出を決めた。阪神と日本シリーズ進出を懸けた戦いは18日に始まる。
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代打田中が初球を引っ張った打球は一、二塁間をライナーで破った。同点の8回無死満塁。新井監督が送り込んだ代打策が、ファイナルステージへの扉をこじ開けた。2戦続けて終盤まで僅差の展開で、またも積極的采配が勝利に導いた。
「ひと振りでよく決めてくれましたよね。経験値というか、ああいう場面は相手の方がピンチ。しっかりと積極的に仕留めてくれたのは、さすがだと思います」
田中は昨季まで2年続けて2桁試合出場にとどまり、オフは大減俸を受け入れた。就任が決まったばかりの指揮官は「俺はまだ戦力で見ているぞ」と告げ、上を向かせた。春季キャンプでは「もともと強く引っ張れるヒットゾーンを持っている」と言葉だけでなく、直接指導も交えて感覚を取り戻させた。輝きを取り戻し、この日は勝利を決定づける“戦力”となった。
田中だけではない。6回1死三塁からは、3安打投球の森下から大道にスイッチ。結果を気にせず腕を振ることを求められた右腕は、大田、牧という中軸を力で押してフライアウトとした。その裏には、技術指導に打席での考え方を説いた末包が代打弾。導き、自信を持たせ、輝く場所を与えた選手たちが持っている力を最大限に発揮した。
初回に先制ソロを放っていた西川には終盤、2度の無死一、二塁で犠打のサインを出し、4番堂林にも代打を出した。短期決戦仕様のタクトを振るい、2試合で計40選手を起用。言い続けてきた「全員野球」でファイナルステージ進出だ。CS初戦直前、選手に伝えた「北島三郎さんでいくよ。“まつりだ、まつりだよ~”」という言葉通り、マツダスタジアムはお祭り騒ぎとなった。真っ赤に揺れるスタンドに、新井監督は誓った。「今年のスローガンでもある、がむしゃらに。カープの全員野球で、高校球児のように戦ってきたいと思います」。阪神が待つ聖地甲子園でも、明日なき戦いを貫いていく。【前原淳】
◆新井監督と甲子園 ルーキーイヤーの99年、7月4日阪神戦で代打本塁打を放ち、1年目にして甲子園で本塁打を記録。08年の阪神移籍後は、同年4月30日ヤクルト戦でサヨナラ弾を放つなど、甲子園でサヨナラ安打は通算3本マーク。12年7月29日DeNA戦では弟の良太と、史上3組目となるアベック本塁打を記録した。阪神在籍7年では通算369試合、28本塁打、打率2割6分7厘。広島時代も含めると468試合、35本塁打、2割5分9厘だった。なお、広島工時代には甲子園に出場していない。
▽広島西川(初回に先制ソロを放ち、6、8回と2打席連続で犠打)「短期決戦はなんとか塁を進めて、ワンチャンスをものにできた方が優位には進められる。だからバントは重要になってくる。こっちも準備していたので、なんとか成功できてよかった」



