第2の大竹、細川は生まれるか? 出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化する「現役ドラフト」が今日8日、午後1時より開催される。オンラインによる非公開で行われ、順調にいけば午後5時ごろに指名結果が発表される。初開催となった昨年から一部ルールが変更。12球団別“活用度”とあわせ、制度を解説する。【取材・構成=古川真弥】

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ルール変更は1点。各球団が事前に提出する指名対象リストに載せる選手数についてだ。来季年俸が5000万円未満の選手を2人以上、挙げないといけないが、昨年は1人に限り5000万円以上1億円未満も可とされた。今年も5000万円以上1億円未満を1人に限り挙げられるが、その場合は5000万円未満の選手を1人加え、計3人以上を挙げないといけなくなった。つまり、各球団から必ず5000万円未満の選手が2人以上、リストアップされる。

これにより、年俸が低い=出場機会に恵まれない選手が、より多く指名対象となる。制度の趣旨に沿った変更と言える。もっとも、昨年指名された12人に年俸5000万円以上の選手はいなかった(最高額は阪神→西武の陽川2200万円)。指名から漏れた中にいた可能性もあるが、公表されるのは指名結果のみ。各球団は秘密保持義務を負う。いずれにせよ、ようやく始まった現役ドラフトを改善していく姿勢は伝わる。

昨年の現役ドラフトを振り返る。投打の成功例は、議論の余地なく大竹(ソフトバンク→阪神)と細川(DeNA→中日)だ。大竹はプロ6年目で自己最多21試合に投げ、同じく自己最多12勝で優勝に貢献した。制球で勝負するタイプ。豪腕ぞろいのソフトバンクでは出番が限られたが、セ・リーグの野球が合った。細川は今季140試合、131安打、24本塁打、78打点。過去6年の合算以上の数字を1シーズンでたたき出した。和田打撃コーチとの出会いが大きかった。両選手とも移籍を転機に、成功をつかんだ。

阪神が出した陽川は9試合のみ。中日が出した笠原(DeNA)は2試合のみで戦力外となった。阪神、中日は現役ドラフトをフル活用し得をしたと言える。ただ、忘れてはいけないのは、くすぶっていた大竹、細川を指名対象にした前所属球団の決断があったことだ。その決断抜きに、2人の成功はなかった。

出した選手が活躍した一方、取った選手はともに戦力外(ソフトバンク古川は育成再契約)となったソフトバンク、DeNAは損したと言われそうだ。だが、大竹、細川がそのまま残っていても同じように活躍した保証はないし、2人が抜けた分、他の若手は出番が増えたかもしれない。何より球界全体で考えれば、大竹、細川の成功はプロ野球を盛り上げた。移籍の機会を与えたソフトバンク、DeNAの決断も評価されていい。その点で、両球団も制度を活用したと言える。

制度導入前には「戦力外の選手が現役ドラフト要員として取っておかれるのでは」という懸念もあった。初年度に制度を活用しきれなかった球団に、そういう思惑があったとは言わない。移籍1年で戦力外となった6人もチャンスは与えられた。第2、第3の大竹、細川が続けば懸念は完全に消えるし、球界の活性化、ひいてはファンサービスにつながるのは間違いない。