巨人が“香川のおっちゃん”の衝撃の1発で阪神を沈めた。
2年目の浅野翔吾外野手(19)が今季初安打を1号グランドスラムで決めた。4回2死満塁、阪神及川の外角変化球を左翼席に運んだ。負傷離脱したヘルナンデスの代役で12日に1軍昇格。4月6日DeNA戦以来のスタメン抜てきに最高の1発で応えた。中5日で先発登板した戸郷翔征投手(24)が2試合連続の完封で9勝目をマーク。チームはカード勝ち越しを決めて、首位広島を1ゲーム差で追走する。
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夏になれば、自然と乗ってくる。以前は心臓がバクバクしていた次打者席でも緊張しない。4回2死満塁、浅野は冷静に意図を持って打席に向かった。直球1本には絞らず、変化球と両方を待つ。「詰まってでも、バットの先でも1点を取る」とバットは指1本分短く握った。カウント1-1からの3球目。129キロスライダーを芯で拾った。舞い上がった打球は左翼席に吸いこまれた。
通算2本目となる今季1号は先制&決勝のグランドスラム。東京ドーム1号を衝撃的な一撃で決め「最高の結果になった。スタメンで使ってもらい、絶対打ちたかった。最高です」と喜びに浸った。昨季のプロ初アーチも8月18日広島戦。高松商では夏の甲子園5戦4発だった。甲子園が始まれば、夏になれば、浅野の季節だ。
変化球を打てたことが成長の証明だった。開幕1軍も9打数0安打で早くも4月8日に2軍降格。阿部監督からは「漠然と振っているようにしか見えない」と直球をフルスイングするだけでなく、狙い球の待ち方、変化球の対応を課題とされた。ファームでは「野球脳を鍛える」を意識した。
データの見方も変わった。ただがむしゃらに。その姿勢だけでは勝負にならない世界だと痛感した。能力だけで通用した高校野球とは違う。過去の自分を「やっとプロ野球選手としての自覚も出てきたのかもしれません」と反省する。今は相手投手の持ち球、球種の割合など細かく頭に入れて打席に立つ。テレビも見るのは野球だけ。この日、打ったのは129キロスライダーだった。
イメージトレーニングを日課とし、巨人の本塁打集を見る。岡本和がバルコニー席にぶち込む映像などを見て「自分もプレーで盛り上げたい」と憧れながら、将来像を重ね合わせて目標とした。今季107試合目でチーム初の満塁弾でもあった。思い描く姿を現実にした。注がれた「浅野」コール。最高に心地よかった。【上田悠太】
▽巨人阿部監督(今季1号満塁アーチの浅野に)「(変化球を)狙っていたのかどうかはわからないけど、狙って打ったなら大したもん。まだ、そういう余裕もまだないだろうけど、こういうのを自信につなげてもらいたいなと思います」
▼19歳8カ月の浅野がプロ入り初の満塁本塁打。10代で満塁弾を放ったのは19年7月3日村上(ヤクルト)以来16人、18本目となり、セ・リーグでは6人、7本目(1リーグ2人、2本、パ・リーグ8人、9本)。巨人では08年4月6日に19歳3カ月で打った坂本に次いで2人目。王の初満塁弾は20歳3カ月、松井は21歳0カ月で、2人は10代のうちに打てなかった。浅野はスコア0-0からの1発で、これがV打点。セ・リーグで10代の「満塁Vアーチ」は、13年8月1日高橋周(中日=逆転)に次いで2人目だった。



