阪神真弓明信監督(55)が1日、春季キャンプ初日に大相撲の横綱朝青龍ばりのあいさつで「最強」を宣言した。沖縄県宜野座村が主催したセレモニーで「阪神は、帰ってきました」とあいさつし拍手を浴びた。昨年の悪夢の歴史的逆転負けから、4年ぶりのV奪回に向けて、猛虎復活のキャンプが始まった。

 気分は千秋楽、優勝決定戦に沸く国技館の土俵際だったか。真弓監督はスタンドマイクの前に直立し、こう切り出した。

 「阪神は、帰ってきました」。そう、激闘の記憶も新しい横綱朝青龍の優勝スピーチをパクリ?

 続けたあいさつにも、横綱の闘志に負けない熱を込めた。

 「この沖縄のすばらしい気候の中で、宜野座のすばらしい施設の中で17日まで(1次)キャンプをやらせてもらって、最強のチームをつくるべく頑張ります」。

 ワンフレーズだが、自分に言い聞かせるように「最強」の2文字を強調した。ここ3年は最後に優勝を逃すシーズンが続く。悔しさの募るキャンプ地のファンに、V奪回以外の約束事はなかった。

 ベテランの主力も顔をそろえる春のキャンプが、監督業の第一歩だった。前夜の就寝前から、天候を気にしていた。目覚めてカーテンを開けると、初夏を思わせる日差しと抜けるような青空が目に飛び込んできた。

 「初日の天気がどうか心配していたのだけど、非常に気持ちのいい天気でよかった。1年は長いんでしょうが、スタートがこういういい天気でできると今年がいい感じでいける気がする。初日はまず動きを見ようと思っていたけど、選手はしっかり準備してきていて一安心した」。沖縄入りの前から入れ込みすぎを注意していたが「どうにか自分を抑えた1日」。予想以上に仕上げてキャンプインしたナインの動きを見て、高ぶりを抑えるのに懸命だった。

 「そんなに長くないんじゃないか」とソフト練習をにおわせていたキャンプ初日のメニューは、午後5時にようやく最後の特打が終了。すべてを見届け、宿舎ホテルに着くころには東の空が暗闇に染まっていた。最強への階段。立ち会いの1歩目からハードだった。【町田達彦】

 [2009年2月2日8時51分

 紙面から]ソーシャルブックマーク