<楽天4-2広島>◇30日◇Kスタ宮城

 隊長草野大輔内野手(33)に促され、照れながら行う田中将大投手(21)の万歳三唱は、すっかりKスタ宮城の風物詩になった。完投での7勝目をファンと分かち合い、お立ち台へ直行した右腕は「チームのいい流れに乗って、勝とう、という気持ちでいた」「とにかく勝つことができて良かった」「勝つことが大事です」と、いつになく同じフレーズを繰り返していた。

 交流戦に入り楽天は上向きで、5月を貯金2で締めくくった。が、パのライバルも負けない。追撃のために田中は決めた。

 田中

 先発投手である自分が、できることって限られていますよね。毎日試合に出ることができないわけですし。だからこそ、自分ができることはしっかりとやり抜くことが大切と思います。投げる試合は全部、勝ちをつけるつもりです。

 7回を除き毎回の被安打12。でも頑として要所は譲らなかった。「状態は悪くない。じたばたしても仕方がない」と、得点圏に走者を抱えても涼しい顔で赤ヘルを封じた。初回1死一、二塁での栗原。2点差とされた8回1死一、二塁でのフィオ。続く2死二、三塁での石原。代名詞の縦スラでことごとく泳がせ、内野ゴロで断った。ブラウン監督の問いには「いけます」と返し、最後までマウンドを守ってみせた。

 5月の4勝は、果たすべき役割を全うした証し。「交流戦で優勝すれば借金を返済できます。勝ちで回ってきて、勝ちをつなげて良かった。もっといいピッチングをして、勝ち続けたい」。断固勝利の決心は、結んだ言葉の端々にまでにじみ出た。【宮下敬至】

 [2010年5月31日8時31分

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