阪神矢野燿大捕手(41)が3日、現役引退を表明した。前日2日に球団に申し入れて了承された。大阪市内のホテルで行われた22分間の会見で「夢のような、僕の想像する以上に素晴らしい野球人生だった」と泣いた。

 決断は潔かった。捕手として20年の年輪を重ねて「心技体が全部あって初めてできる仕事だと思う。すべての面で1軍戦力になることができなくなってきたのかな。自分の判断です」。08年から右ひじ痛に悩まされた。同年11月にメスを入れたが、状態は一進一退だった。今季は城島の加入もあって出場は8試合。6月8日には出場選手登録の抹消を申し出ており、痛み止めの注射を打ちながら2軍で調整していた。「いい時があれば明日もできる、悪くなれば明日は大丈夫かなと。悩みに悩んで(引退を)決めたのは最近。やめると決めて、肩の荷が下りた気持ち」と口にした。

 「僕の人生の分岐点はいつも悔しい思いがあった」と遠くを見つめた。90年ドラフト2位で中日に入団。「何年でクビになるか、というところからスタートした」。レギュラーをつかめずに外野手としても出場。98年、阪神にトレードになって「悔しかった。見返してやりたい気持ちが強かった」。移籍直後から正捕手の座をつかんだ。そして03年と05年のリーグ優勝に貢献した。

 20年間のプロ生活で一番の思い出は、中日時代の91年8月26日阪神戦。甲子園でプロ初安打を初本塁打で記録。敗れたが、星野監督に握手を求められた。「試合に負けると誰も近づけない感じの監督が僕に手を出してくれた」と思い出して、また涙した。

 願いは5年ぶりの優勝に立ち会うことだ。「こんないいチャンスはないと思う。ぜひとも優勝してほしい。(自分も)戻れるように頑張りたい」。将来的な指導者を目指すため、ネット裏から野球を学ぶ。【益田一弘】

 [2010年9月4日8時33分

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