阪神ピンチ!?

 FA移籍した小林宏投手(32)の人的補償をめぐり、ロッテ球団首脳が9日「高額年俸選手が残っていれば取りにいく」と宣言した。金本知憲外野手(42)、城島健司捕手(34)らの名前を挙げ、5億円の資金を用意していることも判明。10日に28人のプロテクトリストを提出する阪神を、強烈にけん制した。

 ロッテが阪神を強烈にけん制した。10日、代表者会議の行われる那覇で、石川晃球団本部長が28人のプロテクトリストを阪神側から受け取る。球団首脳は「万が一、高額年俸選手が残っていれば取りにいく」と話した。さらに「金本、城島、鳥谷、新井、(藤川)球児。1年間のグッズの売り上げを考えればペイできる」と具体名も列挙。補強費として5億円までを用意しているという。

 ロッテが金銭的に足元を見られないよう強気に出たのは、けん制の意味合いを強く感じさせる。小林宏をFA流出させた見返りにレギュラークラスを狙う選択肢はある。だが、それ以上に、高額年俸選手を確実にプロテクトさせ若手の有望株に漏れが出るのを狙っているという見方もできる。

 ロッテ側はFAの決着が遅れたことも最大限に利用する構えだ。人的補償の選手は、小林宏の契約締結が公示された1月28日から40日以内の3月9日までに決めればよく、余裕を持って選べる。オープン戦を戦いながら補強ポイントを洗い直し、阪神でリストからもれた選手のうち、著しい成長を見せた選手を獲得することも可能。球団幹部は「40日間を有効に使わせてもらいます」と、即決はしない考えも表明した。

 阪神がプロテクトできるのは、わずか28人。必要戦力全員を守ることはできない。FA補強に関しては、苦い過去もある。08年1月に、広島からFAで獲得した新井の人的補償として、有望株の赤松を失った。当時、沼沢球団本部長は「プロテクト28人は少なすぎる」と振り返った。今オフは楽天からFA宣言した藤井を獲得したが、その藤井もプロテクトしなければ、失う可能性がある。それほどリストづくりはシビアだ。

 阪神はリストの中身について、一切明かしていない。それでも、仮に名前の挙がった金本や城島、鳥谷、新井、球児のうち1人を失うとなれば、チーム編成を一から考え直す必要に迫られる。チームの顔や4番、守護神がいなくなれば、ファンへの影響も計り知れない。結果的に高額年俸選手が指名されないとしても、阪神首脳はしばらく眠れぬ夜を過ごすことになる。

 [2011年2月10日10時26分

 紙面から]ソーシャルブックマーク