楽天の沖縄・久米島キャンプ第3クール最終日の13日、田中将大投手(22)が「人生初めて」となる200球オーバーを果たした。早い組でブルペン入りすると変化球を交えて投球練習。球数は207球に到達した。15日の紅白戦で今季初先発の予定。大目標に掲げる3月25日の開幕投手ゲットに向け、力強く歩を進める。

 ブルペンにマーくんの叫び声が響いた。101球目、「早い!」。130球目、「違う!」。176球目、「あ~落ちた!」。188球目、「あー!」。189球目、「回転~!」。196球目、「分かった、分かったぞ。もう分かった!」。200球目、「遅れた!」。リリースのタイミングやボールの回転。田中は自分のポイントを確認しながら腕を振り続けた。100球を超え発せられた言葉の数々。ギャラリーも引き込まれた。

 ブルペンとはいえ、合計207球の熱投だった。プロ入り後の1試合最多投球数は150。大きく上回り、開口一番「疲れました」とポツリ。「分かった」の内容を聞かれ「分かってなかった。まだまだです」。それでも充実感は残った。「内容はよくなかったけど、人生で初めて200球を投げました。良い感じでやれました」と振り返った。

 投げ込みの理由は「最初から投げたかった」としたが、佐藤投手コーチは解説する。「80球ぐらいまでなら腕力で投げられる。だが、150球を超えれば田中でもばらつきが出る。力だけじゃ無理。いかにバランスよく投げられるか」。田中はオフから力みをのぞいた新フォームの習得に取り組んでいる。未体験の疲れの中で、力任せにならない投球の基本原理に立ち返りフォーム固めに励んだ。

 星野仙一監督(64)は「素晴らしい。力みなく前でバーンと球を離している」と高評価した。田中の低い自己評価は、求める境地が高いから。先発する明日15日の紅白戦には岩村、松井稼も出場する。この日、2軍のシート打撃で安打を放った2人は三遊間コンビを組む予定。田中がメジャーコンビに立ち向かうのか、それともバックに投げるのかは未定だが、初の開幕投手へ向け昨年8月以来の実戦マウンドに立つ。【古川真弥】

 [2011年2月14日8時32分

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