<フレッシュオールスター:全ウ1-7全イ>◇18日◇秋田

 全イで先発した日本ハム上沢(うわさわ)直之投手(19)が2回をパーフェクトに抑え、優秀選手賞を獲得した。当初、2番手の予定だったが、先発予定の楽天森雄大投手(18)が登板直前に腰を痛めたため、繰り上がりで緊急登板。打者6人を無安打2奪三振と力投した。試合は全イが快勝し、通算成績を18勝27敗5分けとした。

 試合前の華やかなセレモニーで、全イがなんだか慌ただしい。先発予定の楽天森に、故障アクシデントが発生していた。大事をとって登板回避が決まったのは、試合開始直前だった。選手紹介でグラウンドに整列していた上沢は「(首脳陣に)先発いけるかと言われて。驚いたけど、2イニング投げるチャンスだと思いました」。すぐにブルペンへ走り、肩をつくった。

 緊急登板のドタバタを、マウンドでは感じさせなかった。1回は3者凡退スタート。「いつも先発の登板前にやるダッシュ、遠投ができなかった」と余裕はなかったが、落ち着いた2回は持ち味を存分に発揮。「真っすぐで勝負したかった」と最速144キロをマークした直球で押した。高橋周、上本から連続三振を奪い、2回を完全投球で役目を果たした。“松戸のダルビッシュ”の異名をとり、187センチから投げ下ろす投球には角度と威力があった。

 専大松戸(千葉)から、11年ドラフト6位で日本ハムに入団。今年の2軍キャンプでは、ルーキー大谷と同部屋だった。2年目右腕の通算成績は、2軍で1勝8敗。1軍は未経験だが「昨年のこの試合をきっかけに1軍で活躍した中村勝さんのようになりたい」とモチベーションは高かった。“埼玉のダルビッシュ”と呼ばれたチームの先輩に刺激を受け、若手の登竜門でアピールに成功した。

 名字を間違われやすいことが悩みだ。昨年、新入団選手の歓迎イベントで、用意された着衣の名字のふりがなが「うえさわ」になっていた。ファンには呼び方を訂正しただけでなく、アントニオ猪木のモノマネを披露して強心臓ぶりを発揮。「今日のベンチでも『うえさわ』って呼ぶ人が何人もいて。『うわさわ』と呼んでもらえるように活躍したい」。代役以上のパフォーマンスを見せ、近い将来のブレークを予感させた。【柴田猛夫】

 ◆上沢直之(うわさわ・なおゆき)1994年(平6)2月6日、千葉・松戸市生まれ。小学校ではサッカーに打ち込み、松戸一中で野球を始める。専大松戸では甲子園出場なし。11年ドラフト6位で日本ハム入団。1軍登板なし。2軍通算21試合1勝8敗。今季は1勝4敗、防御率3・97。187センチ、88キロ。右投げ右打ち。背番号63。今季推定年俸480万円。