<オリックス1-3ソフトバンク>◇7月31日◇京セラドーム大阪

 危機を救ったソフトバンク森福允彦投手(27)は、胸を張ってマウンドを降りた。1点リードの5回。右足けいれんで武田が降板し、緊急救援した。一、二塁のピンチだったが、代打山本から外のスライダーで空振り三振を奪った。6回も無失点に切り抜け、4月以来の今季2勝目が転がり込んできた。

 「いい場面で投げさせてもらった。それが中継ぎの喜び。前半戦は迷惑かけた。ちょっとずつ自信が戻ってきた」

 3月のWBCで左肩を痛め、その後も不振。千賀の台頭や五十嵐の加入で勝利の方程式から外れ、6月には2軍に降格した。7月3日に1軍復帰。これで8試合連続無失点となった。

 現役復帰を断念し、この日限りで退団した元エース斉藤和巳コーチ(35)の言葉が耳に焼き付いている。シーズン開幕前に「お前が引っ張っていけ。もう、そういう立場なんだから」と言われた。07年3月31日のロッテ戦。森福の記念すべきプロ初登板は斉藤の先発試合だった縁もある。「そういうことをなかなか言わない人だし、重みを感じた」。森福も、遠征で服装が乱れていたチームメートを「心の乱れにつながる」と叱ったことがある。チームのため、嫌われ役になることもいとわない。斉藤の励ましで責任感が芽生えた。

 昨年まで2年連続60試合に登板。中学生の時から腰痛を抱え、過去に痛めた両膝は入念なケアが欠かせない。それでも、どんな厳しい場面でも、仕事をまっとうする。低迷するチームにとって、タフネス左腕の復活はこの上ない戦力だ。

 7回からパディーヤ、千賀、五十嵐で逃げ切り。6回以降は安打を許さなかった。負ければ借金生活&5位転落の危機を回避。流れを渡さなかった中継ぎ陣を、秋山監督は「しっかり仕事してくれた」とたたえた。森福も「これで満足することなく、チームに貢献していきたい」と力を込めた。【大池和幸】