<日本ハム1-4楽天>◇2日◇札幌ドーム

 ついに、日本記録に並んだ。楽天田中将大投手(24)が今季最多12三振を奪い、8安打1失点の完投勝利で開幕からの連勝を15に伸ばした。プロ入り前からあこがれの存在だった斉藤和巳(ソフトバンク)と間柴茂有(日本ハム)がマークした開幕15連勝のプロ野球記録に並んだ。昨季からの連勝は19で、日本記録にあと1つとした。次回登板は9日のソフトバンク戦(Kスタ宮城)の予想。先月限りで退団した斉藤氏の古巣相手に、開幕からの新記録樹立を狙う。

 たまった緊張を解きほぐすようだった。9回2死一、二塁。1発同点の場面。田中は日本ハム大引を初球で中飛に打ち取ると、大きく口を開けた。ワッと、ひとほえ。この試合で初めてだった。今季最多136球の力投に「もっと少ない球数でまとめないと。ファイターズ打線が簡単に抑えさせてくれなかった」と反省しつつ喜びにひたった。

 辛抱が実った。2回、自らの暴投と四球もあり、1死一、二塁を招く。大引には外のスライダーが浮き、左前打を許した。先に点を失ったが、崩れなかった。次打者の大野を二ゴロ併殺。「フォームしかない。そこを気を付けた。バランスよくですね」と修正。中盤以降はスライダーを低めに決め、今季最多12三振を奪った。3回からは0を並べると、味方打線が6回に逆転した。駒大苫小牧高時代に過ごした思い出の北海道で、今季6度目の完投勝利を手にした。

 とうとう、あの人に並んだ。ソフトバンク斉藤らが記録した開幕15連勝のプロ野球記録に並んだ。かつて球界のエースとして活躍した「斉藤和巳」は特別な存在だった。高校の頃から、テレビで追った。「プロに入る前から、ずっとあこがれていました。気迫を前面に出すところがすごいなと」。マウンドでほえる姿に、高校球児だった少年は、将来の自分の姿を重ねていたのかもしれない。

 その斉藤氏が先月末で現役復帰を断念した。「1年目に投げ合って勝たせてもらったけど、その時から肩は良くなかったみたいですね。もう1度、僕と投げ合いたいと言っていただいた。僕も投げ合いたかった」と残念そうに話した。お互いの夫人同士が仲がよく、両家族で食事をしたこともある。退団報道後、電話で直接「お疲れさまでした。新記録(16連勝)は、ホークス戦になるかも知れません」と伝えた。次回登板は、順当なら9日ソフトバンク戦(Kスタ宮城)。くしくも、斉藤氏の古巣だ。

 その次戦では、開幕連勝の日本新記録がかかる。昨年からは19連勝のため、プロ野球記録の20連勝もかかる。記録ずくめだが「節目とは思っていません。まだまだ通過点。(斉藤氏の記録も)超えてからです」と自らを戒めるように言った。何より、頭の中はチームのことでいっぱいだ。今季2度目の5連勝で貯金17。「勝負どころは、ここから先。そこで力を発揮できるように」と、新記録の先にあるペナント奪取をにらんだ。【古川真弥】

 ▼田中が無傷の15連勝。シーズン15連勝以上は延べ9人目で、開幕から15連勝は81年間柴(日本ハム)05年斉藤(ソフトバンク)に並ぶプロ野球タイ記録だ。間柴は先発した21試合のうちリードを許して降板しながら黒星を免れたのが4度あったが、斉藤と田中はリードを許した降板なしで15連勝した。勝敗の付かないケースを含め連勝中の失点別試合数を出すと(間柴は先発試合のみ)

 田中は4失点以上がなく、1失点以下が最多の12度。15連勝達成時の防御率も間柴3・46、斉藤2・34に対し、田中は1・26。8回以上投げたのも田中が最多の11度と、内容では2人を上回っている。これで田中は昨年8月26日から19連勝。連続シーズンを含む19連勝は、51~52年松田(巨人)と57年稲尾(西鉄)の20連勝に次いで史上3人目。次回の登板で開幕16連勝の新記録と、20連勝のタイ記録に挑戦する。<15連勝中の失点>0失点

 間柴2度

 斉藤1度

 田中5度1失点

 間柴4度

 斉藤4度

 田中7度2失点

 間柴6度

 斉藤7度

 田中3度3失点

 間柴4度

 斉藤5度

 田中3度4失点以上

 間柴5度

 斉藤1度

 田中0度