ロッテが今秋ドラフト3位で指名し、4日に飲酒で補導された八重山商工・大嶺翔太内野手(18)の更生を最優先させる方針を固めた。ロッテ石川副代表は10日、千葉市内の球団事務所で「来春のキャンプに間に合わなくて結構。キャンプより人間としての成長が第一」と話し、野球以前に社会人としての常識や人間性を習得させたい考えを示した。また契約条件の見直しも検討している。

 ロッテが大嶺翔の契約条件を見直す可能性が出てきた。ロッテ石川副代表は「仮契約は有効じゃない。契約しないかもしれないし、彼がしっかり反省して契約を結ぶことになったとしても契約金、年俸が少なくなる可能性はある」と話した。11月5日に契約金4000万円、年俸600万円(推定)で仮契約を結んだが、正式入団の場合はあらためて条件を見直すという。

 また契約時期についても期限をもうけない方針を明らかにした。「合同自主トレ(来年1月10日)やキャンプに間に合わなくて結構。キャンプに間に合うことより人間の成長を第一に考えたい」と更生を最優先する方針だ。

 前日9日には、未成年での喫煙事件から更生した経験のある日本ハム・ダルビッシュが「たたいてつぶすのは簡単。みんなで温かく迎えてあげてほしい」と力説したばかり。ダルビッシュのように不祥事をバネに大きく成長してもらうためにも、ロッテ側もしっかり更生させてから正式契約を結びたい考えだ。

 当事者の大嶺翔は、前日9日に石垣島に“強制送還”されてから反省の日々を過ごしている。八重山商工から停学処分が下ったこの日から、早朝の校門掃除と午後の砂浜清掃のボランティアを始めた。さらに午前中は「飲酒してしまった理由」や「将来の目標」などをテーマに反省文を書いているという。同校の真栄田教頭は「本来、外での活動は行わないが、今回は地域の方にも迷惑をかけた。市民の方に反省の態度を見てもらい、理解、応援につなげたい」と、本人の意識改革を促していく。

 停学処分は10日から2週間で、さらに10日間の授業観察期間を経て、最短でも来年1月12日に処分が明ける。石川副代表は「年明けに何回か石垣島に行って直接面接します。そこで本人の反省、気持ちの変化を判断して、契約するかどうかを決めたい」と長期戦で対応にあたる。【鳥谷越直子】