ソフトバンク田上秀則捕手(29)が20日、福岡市内の球団事務所で3度目の契約交渉に臨み、2650万円から倍増の年俸5300万円で更改した。前回の提示額から500万円の上積みを勝ち取る一方、設定されたノルマを下回れば翌11年の年俸がダウンする「逆出来高払い」も付いた。正捕手としてチーム最多26本塁打を放った昨季を超えるための発奮材料で、球団からは全試合出場を期待された。(金額は推定)

 会見で胸元の銀色のネクタイに負けないキラキラ笑顔を振りまいた。田上が年末に2度保留した4800万円から500万円アップの5300万円で更改。「希望額までいってないけれど、評価してもらえ、期待もされ、必要とされているのが伝わってきた。スッキリ?

 はい、そうです」。年俸2倍、さらに角田球団代表の「今年は全試合に出てくれ」という言葉に球団の期待を感じ取った。

 角田代表は増額について「捕手で最年長。引っ張ってもらわないといけない」と話しており“捕手リーダー料”も盛り込まれた格好だ。球団の誠意に田上も減俸のリスクを負うことで応えた。基本給とは別に締結したインセンティブ(出来高払い)契約は珍しい内容。ノルマ達成でボーナス給が支払われ、未達成ならゼロが通常だが、今回は一定の試合出場数や打率、本塁打、打点、盗塁阻止率などに届かなかった場合は翌年の年俸が下がる、いわゆる「逆出来高払い」となった。具体的な設定こそ伏せたが、田上は「正捕手という気持ちはないし、今まで以上の成績を残さないといけない」と決意のキャリアハイを打ち出した。

 昨年は正捕手に定着し、シーズン自己最多の138試合に出場。打率は2割5分1厘ながらチームトップの26発、小久保(81打点)に次ぐ80打点をマーク。04年の城島以来となる捕手での20発&80打点で、オフにはベストナインにも選出された。年末2度の契約交渉では提示額の変化はなく、自費キャンプも辞さない強硬姿勢だった。裏を返すと今季も活躍する自信があるわけで、「逆出来高払い」はその象徴とも言える。

 現在は自主トレ先を故郷大阪から福岡に移し、キャンプインに備えている。この日、気持ちよくサインを済ませ、あらためて今季目標を口にした。「キャンプではけがをしない体をつくる。チーム的にはリーグ優勝、日本一。個人的には30発、100打点」。ここ数年耳が痛くなるほど聞いた「ポスト城島」のフレーズが死語になるパフォーマンスを約束した。【押谷謙爾】