登板する度に「TANEICHI」の名が知れ渡っていく。8日のオーストラリア戦(東京ドーム)。1点リードの8回に侍ジャパン種市篤暉投手(27)の名前がコールされると、ひときわ大きな歓声が起こった。フォークで三振を奪うなど、3者凡退。「すごい歓声が大きかった。認知されて良かった」と目尻を下げた。
ずっと磨いてきたボールが国際舞台でも通用している。切れ味抜群のフォークは「硬式ボールと言ったらフォークかな」と高校生の時に習得。プロ入り後も改良を重ね、最大の武器となった。伝家の宝刀に侍戦士も驚愕(きょうがく)。2月の宮崎強化合宿では、種市がブルペンに入ると投手陣が熱視線を送った。伊藤が「フォークやばいっす」と絶賛すれば、高橋宏も「あれは打てない」。捕手を務めた中村悠は「久しぶりに一級品のフォークを見ました」と、うなった。
チームのためならば、どんな役割もいとわない。ロッテでは先発も、今大会はリリーフとして、ここまで2回を投げ5奪三振、無失点。吉見投手コーチは、準々決勝以降のキーマンの1人として名前を挙げた。「ただただ(スコアボードに)0を並べる、それしか考えていない。自分の持てる全てを出せたら」と種市。16年ドラフト6位でロッテに入団。ドラフト下位指名から頭角を現すも、20年にはトミー・ジョン手術を受け、試合で投げられない日々を過ごした。酸いも甘いも味わった右腕が、WBC連覇の鍵を握る。【水谷京裕】

