プレミアムな黄金バッテリーで、WBC準々決勝ベネズエラ戦に臨む。侍ジャパンの先発・山本由伸投手(27=ドジャース)をリードするのは元同僚の若月健矢捕手(30=オリックス)。同じ高卒プロで、1学年後輩としてオリックス時代から慕ってきた鈴木優氏(日刊スポーツ特任記者)が、第2回「Yu's Eye」で「捕手・若月」の特性を独自リポート。山本と大谷翔平投手(31=ドジャース)のすごみを分析した。

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由伸の力を最大限に引き出してくれる-。それが若月捕手だと信じている。実際に投球を受けてもらった経験を元に、対戦打者のデータから抑えにいくというより、その時々で投手の投げたいボールや調子を見極めることを最優先に考える。だからこそ各投手と距離が近く、信頼され、コミュニケーションもとりやすい。命運を託される由伸とあうんの呼吸で、ベストピッチングが生まれるはずだ。

WBC1次ラウンドの初戦でバッテリーを組み、準々決勝2日前にはブルペンで投球を受けた若月捕手。「調子は良さそう。日本で投げていた時の、全力のイメージがずっとある感じ。(ドジャースに移籍してから)常に手を抜けないと言っていたけど、それができている」と印象を語った。オリックス時代の由伸は長いイニングを投げる中で、力の入れ具合を使い分けていた。同捕手によると、例えばソフトバンク戦なら、試合終盤で主砲の柳田悠岐外野手(37)を迎えると、最大出力のスイッチが入ったという。今は、そのレベルの強度で安定して投げられている。女房役を長年勤めていたからこそ分かる、明らかな進化だった。

由伸自身もそこを、メジャーで適応すべき課題としていた。「下位打線でも1発を気を付けないといけないので。油断するとすぐホームランが出る。それが日本との違いです」と話していたことがあった。2年目で日本と米国のボールの違いや環境にも慣れ、精度の高い球種と出力を継続できるレベルに到達した。強打のベネズエラ打線は、上位から下位まで気が抜けない。だが、その鍛錬を由伸は既にクリアしている。

12日(日本時間13日)にライブBP(実戦想定の投球練習)を行った大谷も規格外だった。若月捕手は、対戦した印象について開口一番「エグいな」と一言。続けて「自分の意思でボールを動かしている。最後のイニングはあえて、めちゃくちゃ浮き上がるフォーシームを投げてきて、捕り損ねた」と苦笑いした。一線級の精度を体感したからこそ、捕手としての感性も磨かれたはずだ。

世界屈指の強者を相手に荒波にもまれる中で、メジャートップ級に成長した由伸だが、若月捕手は「人当たりがよくて、誰にでもフレンドリーなところは変わらないし、安心しました」と言う。ドジャースと残り10年の契約が残っているだけに、最後になるかもしれない「由伸-若月」の侍最強バッテリー。1球1球が、プレミアムになる。

◆鈴木優(すずき・ゆう)1997年(平9)2月5日生まれ、東京都出身。雪谷高から14年ドラフト9位でオリックスに入団。20年7月1日の西武戦で、都立高から直接プロ入りした選手として史上初のプロ初勝利を挙げた。21年に巨人と育成契約を結んだが、オフに戦力外となり現役引退。通算成績は1勝3敗1セーブ。23年に米国ロサンゼルスに留学。24年からドジャースの番記者として幅広く活動し、テレビ局のリポーターも務める。現役時代は右投げ右打ち。181センチ、83キロ。

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