【マイアミ(米フロリダ州)17日(日本時間18日)=四竈衛】第6回WBCは、初めて決勝に進出したベネズエラが米国に競り勝ち、初の王座に就いた。前回23年大会の準々決勝で敗れた相手にリベンジした。今回は準々決勝以降、日本、イタリア、米国を接戦の末、次々と撃破。17年以来、2大会ぶりの王座奪回を目指した米国は看板打線がわずか3安打2得点に終わり、前回に続き、またしても決勝で涙をのんだ。

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歓喜するばかりではなかった。マウンド付近での輪がほどけると、ペレス主将を中心に、ナインはグラウンド上にひざまずき、感謝の祈りをささげた。MVPに選出されたガルシアは、ステージ上で万感の思いに浸り、母国へ向けてメッセージを送った。「ベネズエラはNO・1だ」。

準々決勝で日本、準決勝ではイタリアを、ともに逆転で撃破した底力は本物だった。先発左腕ロドリゲスの快投に続き、救援陣が7回までゼロを並べた。8回、マチャドが、ハーパーに今大会初失点となる同点2ランを浴びた。球場内の空気が一変する展開だったが、流れは渡さなかった。9回無死二塁から4番E・スアレスが左中間へ適時二塁打を放ち、再び勝ち越した。二枚腰の粘りは、勢いやノリでは不可能な領域だった。

長年にわたる末期的なインフレで、国内事情は悪化の一途をたどった末、今年1月には米軍が軍事介入し、マドゥロ大統領を拘束。先行きが不透明な状況は変わっていない。そんな混沌(こんとん)とした中、米国で安全にプレーできる感謝の思いを、ナインは忘れたことはなかった。ペレスは、勝利の喜びをかみしめるように言った。「ニュースを見れば分かると思うが、ベネズエラではいろいろなことが起こっているが、隠すつもりはない。ただ、こういう結果で終われてとてもうれしい」。

過去5大会は前評判は高くとも、攻守にもろさを露呈し、苦い思いを味わってきた。だが、今回は完成度の高いチームで、日本、ドミニカ共和国、米国に次ぐ4カ国目のチャンピオンとなった。ここまで無給で指揮を執ってきたロペス監督は、感慨を込めて道のりを振り返った。「この勝利を国全体で祝いたい。我々には今日の勝利が必要だった」。政治やイデオロギーは、野球には関係ない。ベネズエラの優勝は、野球の原点とも言える結束力の重要さを、あらためて浮き彫りにした。

▼ベネズエラが決勝で米国を破って初優勝。WBCで優勝したのは日本、ドミニカ共和国、米国に次いで大会4チーム目。南米チームの優勝は初で、五輪、プレミア12を含めた主要国際大会でも初めてになる。

【WBC】侍倒したベネズエラが米国破り初優勝 米国、8回にハーパー同点2ランも力尽きる/詳細