今場所から46番目の相撲部屋として、西岩部屋が始動した。師匠は元関脇若の里の西岩親方(41)。稀勢の里、高安らの兄弟子で、田子ノ浦部屋の部屋付き親方から独立した。弟子は序二段2人と、前相撲で初土俵を踏んだ3人。今場所は大阪市の田子ノ浦部屋の近く、東京では浅草に部屋を構えている。

 部屋付き親方もマネジャーら裏方も不在で、既存の部屋を継承したわけでもない。まったくのゼロからスタート。1年前に入門した19歳の若佐竹が最年長で、5人全員が未成年。西岩親方は「相撲の取り方も、ちゃんこの作り方も知らない。だから朝は一緒にまわしを着けて稽古し、ちゃんこも作る。夜も毎日、一緒にちゃんこを食べる。新弟子生活に戻ってます」と笑う。

 独立すれば後援者との付き合いも必要だが「皆さん部屋に来てもらって、一緒にちゃんこを食べます。弟子は本当の子どものようなもの。それを置いて自分だけ外で食べることなんてできない」。まっすぐな姿勢を理解してもらっている。

 今は稽古で胸を出しても「全員1ミリも押せない」という。だが「将来、自分が羽目板にぶつけられる日が来たら、こんなうれしいことはない。現役時代は屈辱的だったのにね」。部屋について語る時は終始、目が輝いていた。【高田文太】