初場所は、これまで以上に、新型コロナウイルス感染拡大の影響下で慎重に行われている。日本相撲協会が場所直前に実施したPCR検査で、感染判明や濃厚接触の可能性があるなどして力士65人が全休となった。それでも連日、土俵上では白熱した取組が行われている。出場している力士らの、率直な胸の内を聞いた。

協会の看板を背負う大関朝乃山は「開催するからには、お客さんを喜ばせたい」と話す。幕内力士では6人が全休措置。「休場者は多いけど、しっかりと相撲を取り切ることだけを考えたい」と責任感を口にした。昨年12月に部屋で集団感染が発生し、自身も感染した天空海は「自分は肥満体形。怖いというのはあった」と復帰できるか不安だったという。それでも「どうにかプラスに考えてやってきた。(本場所は)やるならやる、やらないならやらないだけ」と準備してきた。

昨年初場所で初優勝し、満員の観客の前でうれし涙を流した徳勝龍は「あらためてファンあっての大相撲だと感じる」と振り返る。今場所は観客数の上限を1日5000人に制限し、有観客での開催に踏み切った。「今場所できたのが奇跡に近いと思う。精いっぱい頑張りたい」と話したのは十両の宇良。出場している力士らは、力士の務めを全うしようとしている。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

水戸龍(右)を攻める宇良(撮影・鈴木正人)
水戸龍(右)を攻める宇良(撮影・鈴木正人)