3階級王者のWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が真の階級最強王者の称号を手にした。

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝で5階級王者のWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)と対戦。3-0の判定で勝利を飾った。

   ◇   ◇   ◇

実績、テクニック、パワーのあるドネアだが、井上尚弥はその上をいった。カットにも、焦ったり、気持ちが落ちることもなく、ハートの強さも見せて切り替え。判定でも文句のないすばらしい勝利。幅の広がりも見せてくれ、またレベルアップを示した優勝になった。

お互いパワーがあり、狙っていて、なかなか前に行けない。気が抜けない神経戦で疲れる。見ていても心配ではあったが、距離はつかんでいた。左フックをもらっても殺していた。危ないと思ったのは9回。右クロスをもらって、クリンチにいこうとした場面ぐらいだった。

井上尚弥は攻めて倒しての前半決着が続いた。ドネアは持久戦の後半勝負に持ち込もうと、ガードを固めて前に出て来た。井上尚弥はカウンター狙いに切り替えて対応。11回にはボディーでダウンを奪い、逆に後半の強さも発揮した。

ボクシングでトーナメントなんて、今まで考えられなかった。それを勝ちきった。しかもレジェンドが相手。今度は井上がパウンド・フォー・パウンド1位へ、レジェンドへと踏み出す大きな勝利になった。(元WBC世界スーパーフライ級王者)