ボクシングの元世界2階級制覇王者で、4月に現役引退を発表した粟生隆寛さん(36)が2日、セコンド“デビュー”を果たした。帝拳ジムで担当する4戦全勝のホープ岩田翔吉(24)が成塚亮と対戦した、ライトフライ級8回戦のセコンドについた。

試合は初回に岩田の踏み込んでの右が顔面を捉え、ダウンを奪う展開。イケイケになりそうな場面でも「頭を動かせ!」など的確な指示をリング下から送った。「自分のデビュー戦より緊張するが、素晴らしいものを持った選手。熱くなりすぎず、勝たせてあげたい」と期していたとおり、冷静さを促すような声が響いた。

7回に右アッパーなどで追い込み、38秒でTKO勝利を決めると、愛弟子を笑顔で迎えた。「天才」と称賛されたボクサーの新たな船出。「長谷川(穂積)さんの爆発力と、(井上)尚弥の一発に、自分のディフェンス技術を足した感じですかね」と冗談も交えながら語った理想の選手を育てるための第1歩をしるした。

◆粟生隆寛(あおう・たかひろ)1984年(昭59)4月6日、千葉県市原市生まれ。習志野高では史上初の高校6冠。09年3月にWBCフェザー級、10年11月に同スーパーフェザー級王座を獲得し、2階級制覇。168・5センチ。プロ戦績は28勝(12KO)3敗1分け1無効試合。