世界3階級制覇王者で現WBO世界ウエルター級王者のテレンス・クロフォード(33=米国)が4度目の防衛に成功した。

昨年12月以来、約11カ月ぶりのリングで、同級5位となる元IBF世界同級王者ケル・ブルック(34=英国)と拳を交え、4回にカウンターの右フックで完全にぐらつかせた。そのままロープ際に追い詰め、左右の連打を打ち込んでレフェリーストップ。同回1分14秒、TKO勝ちを収めた。世界戦8連続KO勝ちとなったクロフォードの通算戦績は37勝(28KO)無敗となった。

「パウンド・フォー・パウンド(階級超越した最強王者)キング」と呼ばれるクロフォードらしい完勝だった。昨年12月、エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)に9回TKO勝ちして以来のリングは通常のサウスポーではなく、右構えで試合に入った。序盤はブルックの右カウンターなどを浴びていたが、3回からサウスポーに戻すと徐々にペースを握り返し、素早い右フックで仕留めた。

クロフォードは「パンチを繰り出して焦らずに仕留めることができた。期待を上回る内容。ケルは才能に恵まれた選手。私のタイトルを奪いにきたが、そうはいかない。自信もあっただろうが、私の方が強かった」と満足顔。今後はWBA世界同級スーパー王者マニー・パッキャオ(41=フィリピン)、WBC・IBF世界同級王者エロース・スペンスJr.(30=米国)ら他団体王者との統一戦が期待される。クロフォードは「パッキャオ戦ができるならやりたい。コロナの影響で(交渉が)うまくいかなかったが、ウエルター級でやれるならやりたかった。ぜひ組んでほしい」と2団体統一戦を希望した。

クロフォードと契約を結ぶ米プロモート大手トップランク社ボブ・アラムECOは「マニーには、お金も準備も、すべてお膳立てし、中東でやろうと提案したが、中東では観客動員してうまくできないと拒否された。ぜひまた来春あたりにマッチメークを試みたい」と意欲。さらにスペンスJr.に向け「ビッグマッチを願うならクロフォードとやってくれ。クロフォードが(ウエルター級で)1番なのは分かっている。クロフォードに勝てる選手はいない。スペンスはクロフォードとの対戦を避けるだろう。勝てないと分かっているから。スペンスと対戦しても4回でクロフォードが勝つだろう」と挑発的な発言を続けていた。