GHCナショナル選手権は王者の拳王(35)が、挑戦者の桜庭和志(51)に3度目の防衛に成功した。

ゴングが鳴ると、両者掌底で顔を殴り合い、その後キックの応酬に。拳王は総合格闘技上がりの相手の土俵で堂々と戦いを挑み、危険を顧みず、寝技を仕掛けていった。強烈な絞め技を食らい「ギブアップしそうになった」が、うまくロープを使いながらかわした。

最後は膝をキメられていた拳王が「一瞬のスキを突いた」と体を入れ替えるとそのままフォールの体勢となり、3カウントを奪った。納得いかない桜庭は何度もレフェリーに詰め寄ったが判定は変わらず。去り際には拳王をにらみ、怒り見せるシーンもあったが「彼の勝ちでいいです」と負けを認めて去っていった。

拳王は11月に挑戦者に指名したあと、ことあるごとに桜庭を罵倒し続けてきた。煮え切らない態度に怒りが収まらず「桜庭の緊張感を取り戻させた上で俺が勝利する」と何度も豪語した。その言葉通り、開始後は緊張感で静まり返り、冷静な桜庭を発奮させた。有言実行の勝利に「これがプロレスリングだ。(桜庭)久々に怒っただろ? 試合はやる前から始まっているんだよ」と吐き捨てるように言った。

この日、来年2月12日、ノアでは10年ぶりに日本武道館での開催が発表された。「超満員の武道館でメインを戦って勝利し、最後の花道を歩く」と明かした。2年前から抱いていた夢だといい「持ち続けてから少しずつ近づいてきた。クソ野郎ども、夢を諦めるな。追い掛け続けろ。そして俺についてこい」とカメラに向かい、メッセージを送った。大口をたたきながらもしっかりベルトを守り続けた。ベルトを守り続けた。聖地武道館の夢がかなう21年。ノアを拳王の時代にする。