オカダ・カズチカ(33)が35分を超える激闘の末、ウィル・オスプレイ(27)との因縁対決を制した。序盤から場外に戦いの場を移した。

オスプレイのブレーンバスターを浴びて机にたたきつけられたオカダが意識を飛ばせば、オスプレイもオカダのマネークリップで失神寸前に陥るなど、意地と死力を尽くした戦いが続いた。

30分過ぎからはリング内での大技の応酬が続いた。オカダは自らの得意技でもある墓石式脳天くい打ちとレインメーカーを連続で浴びて窮地に陥ったが、カウント2で返すと、35分過ぎ、同じ変形の墓石式脳天くい打ちからレインメーカーをたたき付けて、ついに粘るオスプレイから3カウントを奪った。

オスプレイは英国遠征時代にオカダ自らスカウトした弟分のような存在だったが、昨年10月のG1クライマックスでの直接対決で造反されて敗れていた。試合後、オカダは疲労困憊(こんぱい)の顔で「手ごわかった。こういう戦いがしたかったから裏切ったんじゃないかと思う」と振り返った上で「裏切ったところで簡単にトップ戦線には行けない」と頂点を極めた男のプライドをにじませた。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言も検討される中での試合だった。「こういう状況でもこれだけのお客さんが来てくれて、声も出せない中、しっかりと応援をもらった。元気や勇気を与える試合をして、少しでも元気になってもらわないと、僕たち戦っている意味がない」。そんな思いもオカダの背中を押し続けた。

昨年はタイトルと無縁の1年を送った。「2020年はあまりいい結果を残せなかった。『新日本プロレス・ワールド』も世界中に配信されているので、今年は“オカダの年”にして、日本も世界も元気にしていきたい」。この新春の勝利が新しいオカダ物語のスタートになる。【首藤正徳】

○…オスプレイは試合後、コメントしなかった。35分を超える激闘で技を出し尽くし、最後はオカダの必殺技レインメーカーも決めたが、3カウントを奪うことができなかった。フォールを奪われた後、オカダに何か声をかけられたが、リングを転がって場外に降りた。「オカダのキャリアを終わらせる」と、この試合をオスプレイ時代の呼び水にするつもりだったが。壁は予想以上に厚かった。