総合格闘技約18年ぶりの東京ドーム大会で、不屈の男が復帰戦で白星をつかんだ。秋田・能代市出身の初代フェザー級(66・0キロ以下)王者、斎藤裕(33=パラエストラ小岩)が、5年間無敗、11連勝中の強敵ヴガール・ケラモフ(29=アゼルバイジャン)とのノンタイトル戦を判定2-1で競り勝った。岩手・久慈市出身の扇久保博正(34=パラエストラ松戸)は、バンタム級(61・0キロ以下)トーナメント1回戦を判定3-0の勝利で突破した。

斎藤が204日ぶりに帰還した。王座に輝いた昨年11月21日の朝倉未来(28=トライフォース赤坂)戦以来、チャンピオンとしての初戦。鼻骨骨折などの影響で戦線離脱していたが、「紙一重だった」というケラモフとの15分間(5分3回制)に及ぶ死闘で勝った。

1回、ゴングが鳴った直後に右まぶた付近から流血する試練のスタート。タックルを決められ、リングに背中をつける劣勢が続いた。それでも2回、グラウンド状態の相手に顔面キックを打ち込むなど蹴り技で応戦。「ケラモフは後半になるにつれて力も落ちてくると思っていた。諦めず動き続けようとしたのが良かった」。ジャッジの判定は割れたが、後半勝負が功を奏し、プロ20勝目を刻んだ。

小中学生時代は野球少年だった。「秋田県はジャイアンツの試合しか映らなかったので、見ていた記憶はあります」というプロ野球巨人の本拠地で王者初白星。「東京ドームは広いなと思ったけど、リングは変わらないので、気にならなかった。今日、勝てたので、次は防衛戦をしっかりやりたい」。次戦はタイトルを守り、王者の誇りを示す。【山田愛斗】

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