オカダの壁は厚かった。オスプレイは、必死のファイトを繰り広げたが、あと1歩及ばなかった。これまでのシングル対戦1勝6敗と苦汁をなめさせ続けられた天敵に、またも必殺のレインメーカーに沈められた。

過去32度の「真夏の祭典」に出場した外国人レスラーは50人近くに上るが、制覇したのは16年のオメガだけ。スコット・ノートンやリック・フレアーら、名だたるレスラーでさえ成し遂げられなかった名誉は、遠かった。

15年に米国遠征中のオカダと対戦。その実力を見いだされ、16年に初来日を果たした。これまでIWGP世界ヘビー級王者、US・ヘビー級王者、ジュニアヘビー級王者、NEVER無差別級王者など数々のタイトルを獲得してきたが、G1の頂点が唯一未到達の場所だった。階級を超えたシングルタイトル総取りのグランドスラムを達成は、来年へ持ち越しとなった。

新日本の誇りを持つ。米国や母国の英国などでも精力的に活動する中で、団体への愛をほのめかしてきた。今大会中には観衆の少なさに言及。「俺には試合をする以上の使命がある。頑張り続けて新日本の人気を再び元に戻したい」と、声を大にしていた。

この日の一戦に向け、所属ユニット「ユナイテッド・エンパイア」のメンバーとともにオカダの敗戦試合を繰り返し視聴し、研究してきた。それでも、跳ね返され、ぼうぜん自失の様子だった。だが、工事現場で働きながらプロレスラーになるという夢をかなえた反骨精神がある。昨年5月にけがの影響で返上を余儀なくされた世界ヘビー級王者返り咲きへ、三度(みたび)立ち上がる。