新日本プロレス時代に「闘魂三銃士」として支えた武藤敬司(59)が、1日に心不全のため、79歳で死去した師匠のアントニオ猪木さんをしのんだ。

第1試合開始前に開催されたセレモニーでは、自ら遺影を携えてリングイン。観客、選手とともに追悼の10カウントを送った。バックステージでは「猪木さんは常に戦っていた」と思いを語った。

武藤は84年に新日本に入門。師匠の猪木さんからの期待も大きく、意志を継承する「闘魂三銃士」の一角もになった。だが、02年に全日本に移籍したこともあり、「ぶっちゃけ俺は20年くらい前に猪木さんのところから飛び出してきているから、他の人たちと比べて、ちょっと遠くなっている…」と話し始めた。

それでも、20年2月に自身が主宰する「プロレスリング・マスターズ」に猪木さんを招待したことに触れると、思いがあふれた。「どうしても猪木さんをリングに上げたくてさ、お願いに行ったんだよ。すぐにいい返事をいただいてね。マスターズができて、なんか本当に最後にいいイベントができたなと思います」と、しみじみと話した。

猪木さんに教わった物は、常識にとらわれない姿勢だという。「とにかく常識があんまり好きじゃないよね。ある意味、俺は感性が似ている。俺も猪木さんに教わったこと、人を育てていく中で、それはどう伝わるかわからないけど、一生懸命教えようとしている。そういう風にやっていかないと教えはどんどん退化していく」と、猪木イズムの継承を誓った。

武藤は来年2月での現役引退を発表している。東京ドームで行われる引退興行へ来てもらえないことが心残りだ。「欲を言ったらドーム、2月21日は見に来てほしかったな。モニターとかでいいから『まだまだだろ』『バカヤロー』と言ってほしかった。ほめられたことがないからさ。常にまだまだだと言われていたよ…」と、天国の師に思いをはせていた。