王者吉川梨優那(21=ディアマンテ)が、挑戦者で前日本女子アトム級王者伊賀薫(30=真正)との「関西女子軽量級頂上決戦」を制し、初防衛を飾った。ジャッジ1人がフルマークの判定3-0、完勝だった。

1ラウンド目に自ら流れを引き寄せた。「左フック? 打ってましたっけ」と試合後はおとぼけも身長、リーチで勝る相手に勇気を持ってかましにいった。

「相手の方が距離が長い。得意のストレートを警戒しながら、きたら打ち合いにいこうと思いました」

距離を詰めて顔面を打ち抜き、つかんだ主導権を手放さなかった。

「いやあ、強くなった」とリングサイドで目を細めたのが篠原茂清トレーナー(60)だった。WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(31=BMB)の肉体面を指導するトレーナーの下に吉川も昨年9月から入門した。「拳四朗くんとほぼ同じメニューですよ」と篠原氏。簡単に言えば、強いパンチを打つために骨盤、股関節を強化する。寺地でさえ音をあげがちな過酷なトレーニングを積み、吉川は強くなった。

もう1人、目を細めたのが元世界王者の野上奈々会長(44)だった。「練習で見せるより一段階上がっていた。試合で力を発揮するタイプ」と愛弟子をほめた。その一方で、目指す師弟世界王者に向けては「まだまだ経験を積まないといけない」。吉川も「まだ世界王者のレベルにないのでもっと経験を積みたい。東洋太平洋、日本(タイトル)も視野に入れていく」。まずアジアを完全制覇して世界へと乗り出す。【実藤健一】