総合格闘家の朝倉未来(31)がけんかに明け暮れた頃の原点に立ち返る。7日までに日刊スポーツのインタビューに応じた。
7月30日のRIZINフェザー級王座決定戦でヴガール・ケラモフに一本負け。落胆の日々を送ったが「シンプルにけんかの頃みたいな」と時間とともに闘争本能も戻った。19日には新格闘技イベント「FIGHT CLUB(ABEMA PPV独占生中継)」で、立ち技打撃格闘技RISEのYA-MAN(27)と対戦する。再起戦に向けた今の心境を明かした。【取材・構成=千葉修宏】
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一本負けの屈辱から3カ月余りが過ぎ、朝倉に戦いを求める本能が戻ってきた。「けんかがしたいんだったらするみたいな」。それは、けんかの日々だった暴走族の副総長時代のような闘争本能だった。
19日の再起戦の相手はキックボクシングの実力者で大会のプロデューサーでもあるYA-MAN。オープンフィンガーグローブでの3分3Rキックルールになる。相手の土俵に乗り込んでの復帰戦。ネット上では“キック初戦”の朝倉が、本職のYA-MANに勝つという声が圧倒的に多い。なぜ勝っても得るものは少なく、負ければ名声を失うような危険なカードを選んだのか。
「(社長を務める)BreakingDownに出ることは違うなと思ったけど、自分で興行を打ってもいいし、RIZINでもいい。何でも良かったんですけど、RIZINだけじゃないよっていう存在価値を高めたかったというか、確かめたかった。RIZINという舞台じゃなくても見る人は見ると」
もっともYA-MAN戦について立ち技打撃格闘技RISEからオファーを受けており、RISEのリングで戦うつもりだったという。
「他団体への乗り込み、殴り込みみたいな気持ちでいたんですけど、YA-MANの興行と知って、ちょっとがっかりしてるんですよね。(カード発表会見で注目を浴び)僕の興行みたいになっちゃったんだから、収益半分欲しいなと思うんですよ(笑い)」
そう冗談を飛ばしたが、7月30日のRIZINフェザー級王座決定戦でケラモフに敗れた直後は2カ月ほど練習もできない日々が続いた。
「準備もしてきて、勝つつもりだったんで、自分に落胆した。背負ってるものもあるから。無意識のうちに燃え尽き症候群だったり、がっかりした部分だったりとかいろいろあって。どうしたらケラモフに勝てるか、根拠のある練習ができない限りはやる気になれなかった」
ただ、その間に所属ジム「トライフォース赤坂」が新体制となり「JAPAN TOP TEAM」としてスケールアップした。
「自分が目を背けてきたような練習をすることによって、ケラモフたちに勝てるっていうのが自分の中で明確になって。ようやくやる気になった。その2カ月は、どうやったら勝てるかが空想の中でも答えが見つかってなかったから。(ケラモフとの再戦も)目指していきたいですね」
SNSの普及で選手とファンの距離が近くなり、朝倉も『YA-MANとの試合なんか受けない方がいい』などとファンから求められることも多い。
「YA-MANは強いし、面白いじゃないですか。あくまで主人公は僕らなんで。そういうふうにファンとかの意見を無視できる人って少ないと思うんだけど、僕はいい意味でも悪い意味でもアンチとかも気にしてないんで。自分の好きなように生きようと思っているだけです」
ストリートでのけんかに明け暮れた日々から、すべてを手にしたと言っても過言ではない現在。それでも「モチベーションはあまり変わらない」という。
「名誉とかよりも自分が戦いたいかどうかってだけなんで。何かもうシンプルにけんかの頃みたいな感じですね」
復帰戦では「路上の伝説」との異名通りの戦いが見られるはずだ。
◆FIGHT CLUB YA-MANプロデュースの格闘技大会。オープンフィンガーグローブで3分3Rキックボクシングルールで行われる。11月19日午後5時試合開始でABEMAでPPV独占生中継。会場は都内で、チケット購入者だけに場所が知らされる。メインイベント以外には、元キックボクサーで現プロレスラーの前口太尊-元Jリーガー安彦考真戦、会見で舌戦を繰り広げた「朝倉軍」白川陸斗-「YA-MAN軍」木村“ケルベロス”颯太戦などが組まれている。
朝倉未来(あさくら・みくる)
◆生い立ち 1992年(平4)7月15日、愛知県豊橋市生まれ。少年時代は極真空手や相撲を経験。同じく総合格闘家の朝倉海は1歳違いの弟。ニックネームは「路上の伝説」。
◆不良歴 高校は傷害事件で中退。暴走族の副総長としてケンカに明け暮れ、16歳の時に無免許運転で少年院に収容。
◆格闘家に 少年院退院後に格闘家を志し、禅道会豊橋道場に入門。前田日明プロデュースによる不良たちの格闘技大会「ジ・アウトサイダー」で2冠王者。18年8月からRIZINを主戦場にし、通算戦績は22戦17勝(8KO)4敗1無効試合。
◆副業 19年5月からYouTube活動を開始。格闘技の話題を中心にドッキリ企画などでも注目を集め、現在のチャンネル登録者数は327万人。また15社以上の会社を経営しており「年商は約30億円」。昨年8月には新会社設立を発表し「2年以内に年商100億を目指す」とした。
◆BreakingDown 21年2月に設立し、今年2月から代表取締役社長を務める。「1分1回」を特徴とする格闘技イベントで、成り上がりを狙うアマチュア選手や売名目的のタレントたちが、オーディションを経て出場する。

