アマ10冠ボクサー藤田健児(30=帝拳)がプロ転向6戦目で、初タイトルを獲得した。WBOアジア・パシフィック・フェザー級王座決定戦で、同級1位として同級2位ジョセフ・アンボ(27=フィリピン)と拳を交え、3-0(118-109、120-107×2)の判定勝利を収めた。

序盤からボディー攻撃でリズムをつくっていた藤田は4回途中、左ボディーアッパーがローブローとなった。アンボがもん絶して5分間の休憩時間がとられると、気持ちを切り替えてボディーを狙わず、ワンツー、左アッパーで相手顔面を狙った。最終12回には右ボディーをねじ込み、スタンディングダウンも奪取。最後までアグレッシブに攻め続け、ジャッジ3人中2人がフルマークという圧勝劇となった。

「少し休憩時間があって、長い時間の試合になってすみません」と苦笑いを浮かべた藤田は、胸に秘めた思いを口にした。故郷の岡山県から家族が応援に駆けつけていた。元東洋太平洋スーパーフェザー級暫定王者の長兄和典さん、総合格闘技DEEPの元フライ級暫定王者の次兄大和らが見守る中での王座戴冠だった。

14年に他界した父和彦さんの遺影を持ち、WBOアジア・パシフィック王座ベルトを巻いた藤田は「岡山から母親と長男、時間と来てくれた。ボクシングに導いてくれた長兄は東洋太平洋の暫定で、次兄もDEEPで暫定。正規のベルトがほしかった。プロ世界で正規ベルトが取れて藤田家として良かった」と込み上げる気持ちを抑えられず、涙ぐんだ。

所属ジムにとっても約1年ぶりの王者誕生となった。藤田は「ジムにとっても久しぶりの王者なので。こうしてタイトルマッチの舞台をつくってくれて、メンタル的にもレベルアップしました。もっと強くなるので見ていてください」と決意も新た。担当する元世界2階級制覇王者・粟生隆寛トレーナーをみつめ「僕には最強のトレーナーがついています」と感謝していた。【藤中栄二】