ボクシング日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦が行われ、挑戦者となる同級1位李健太(28=帝拳)が新王者となった。同級王者藤田炎村(29=三迫)に挑み、3-0(97-93×3)の判定勝利を収め、プロ8戦目で日本王座を獲得した。4連続KO勝利中の王者による攻勢で何度もロープ際に詰められながらも、持ち前のテクニックでかわし続けた。左ストレートを軸に上下に連打を浴び続け、試合を支配した。

右ジャブでペースをつかみ、中間距離での連打だけでなく、近距離でのボディー打ちなどで強打を誇る藤田を翻弄(ほんろう)した。右肩に日本王座ベルトをかけた李は「めちゃくちゃうれしい。(打ち合いは)盛り上がったのでは。自分はけんかっ早いので。(藤田は)前評判通りに攻撃力がありました。終盤も目は死んでいなかった。少し自分をほめてあげたい。ベルトを枕元に置いて眠りたい」と自ら及第点を出した。

アマチュア時代に日本記録となる62連勝をマークす。高校6冠で戦績102勝10敗というアマ戦績を誇る帝拳ジムからのプロ転向後、元WBC世界バンタム級王者山中慎介(帝拳)を担当した大和心トレーナーとタッグを組み「山中2世」と呼ばれた。19年2月にプロデビューし、コロナ禍で試合ができない日々も乗り越えながら約5年2カ月かけてプロ8戦目で日本王座に到達した。

これまでは足のステップを生かしたアウトボクシング主体のスタイルが目立っていたが、もともとアマ時代は接近戦で激しく打ち合っていたという。アマ時代のファイトも思い出しながら打ち合ったという李は「ベルトはうれしいけれど、パッとみても強いと思われるような、自分が見て格好良いと思えるボクシングがしたい。今日の試合内容では満足できず、課題ばかり。本当に強くなって後楽園ホールに戻ってくる」と、新王者としての風格を漂わせていた。【藤中栄二】