プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)が31歳の誕生日となった10日、横浜市内の所属ジムで練習を公開した。

5月6日、東京ドームでWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦(WBA、IBFは初、WBC、WBOは2度目)に向けてシャドーボクシング、サンドバッグ打ちを各2ラウンドずつ披露。井上は「何ラウンドまでとは今は分からないが、どのパンチでも倒せる準備はしている。残り1カ月弱、さらに精度を上げて、そうなるべく仕上げていくだけかなと思う。『察知力』が発揮できれば、決着は早いかも知れない」とKOで仕留める自信をのぞかせた。

ネリ戦に向けて製作されたTシャツにある井上のロコマーク「N」の文字には、さりげなくホワイトタイガーの模様が施されていた。日本では山中慎介との2度の対決を通じて「悪童」と呼ばれていたが、ネリ本来の愛称は「パンテラ(スペイン語でヒョウ)」。ヒョウネリを仕留める白い虎をイメージしてデザインされているという。井上は「ヒョウにホワイトタイガーが対抗するという感じ」と意図を口にした。

試合まで1カ月を切り、ネリの研究も順調に進んでいる。ネリといえば荒々しい攻撃力が目立つものの、井上は「(ネリの)攻撃面にみなさんは目がいきがちだが、打たれ強さがある。荒々しいボクシングでも。ディフェンスの細かいうまさもある。攻撃でなく、実際に前に立った時の空間力もうまいのだろうと思う」と冷静に分析。試合巧者となるネリに対してキーポイントに挙げるのが距離感だという。井上は「自分のボクシングの距離感をしっかり当てはめ、あと接近戦でも距離を取っても戦える準備をしている」と強調した。

さらにネリとのスピード差にも警戒している。井上は「(ネリは)スピードがない。あのスピードのなさが自分のボクシングにどうずれを生じていくか。スローに打ってくる選手はタイミングがつかみずらかったりする。そこを試合当日、確かめたいところ」とうなずいていた。