プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(31=大橋)が31歳の誕生日の10日、横浜市内の所属ジムで、5月6日に東京ドームで行われるWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦に向けた練習を公開した。
練習前の会見の一問一答は下記の通り。
-31歳になった心境は
井上 変わらずですね。年は関係なく、パフォーマンスもすごく成長している。いいキャリアの積み方ができているとあらためて感じます。
-今回の調整は
井上 いつも通り順調です。まだスパーリングを重ねていく。スパーリングは100ラウンドは超えてくる。それも計画通り。
-試合まで残り1カ月は
井上 体調管理と感覚のズレを少しでもなくして仕上げる。減量にも入っていくので、感覚をしっかり整えていくことが大事。
-世界王者になって10年。世界トップで戦い続けてきた思いは。
井上 10年目で東京ドームで試合ができるのは何かの縁だと思うし、大橋ジム30周年に東京ドームで試合できるのは感慨深い。必ず成功させなければいけないという思いは、いつも以上に感じている。高いモチベーションで戦える。自分に期待したい。
-ネリは倒しにくる選手だが。
井上 リスクは大きいけど、白熱した試合ができる。驚くような結果がタパレス戦よりも期待できる。それはどっちに転んでも言えること。本当にハラハラした試合ができると思います。
-ネリの印象は?
井上 攻撃面に目に行きがちですが、打たれ強いし、荒々しいボクシングの中でディフェンスなど細かいうまさもある。実際に前に立ったときの空間(の使い方)もうまいと思います。
-その中でどんな対策をするのか。
井上 自分の距離感を当てはめることと、接近戦でも、距離を取っても戦える準備をする。
-攻撃的な選手に備えて何か変えたところは。
井上 足で外すのか、逆に攻撃でつぶすのか。いろいろパターンを想定している。両方できる準備をしていきたい。
-ネリは会見で優等生だったが拍子抜けしたか?
井上 この試合を成立させたいという思いの表れでしょう。
-ネリの唯一の敗北はボディーで倒されているが。
井上 ボディーが弱点とみんな言っているが、あのタイミングで食らったら誰でも倒れる。自分はそこまでボディーに対して意識はしていない。
-ネリはガードを下げてガンガン打ってくるので、そこは狙いどころでは。
井上 あとは感覚ですよね。スピードがないじゃないですか。あのスピードのなさで、どんなズレを生じるか。スローに打ってくる選手は意外とタイミングがつかめなかったりする。そこは当日試したい。
-いつものリング上の察知力。早く察知すれば勝負は早いか。
井上 決着は早いかもしれないですね。
-どのくらいで相手の距離などを見切ることができるのか。
井上 自分が大事にしているのは、1ラウンド目と2ラウンド目の出だしです。
-KOラウンドと、KOパンチは?
井上 今はまだ分からないけど、どのパンチでも倒せる準備はしている。
-世界中のファンが期待している。
井上 自分自身がいい試合をしたいというのもあるが、大橋ジムの4選手が(世界戦に)同時に出場するので、みんなで最高に仕上げて最高の結果で締めたい。
-東京ドーム日本人初のメインイベント。その強い思いは試合のどんな場面に表れるか。
井上 5万人近いファンの方の声援は、かなり自分にプラスに傾くと思うので、その声援を背にとてつもない試合をしたい。
-緊張感は?
井上 ほどほどいい感じにきてますね。
-東京ドームでどんな光景を想像しているか。
井上 想像もできないくらいの興行なので、今は全然想像ができていない。
-31歳の誕生日会は
井上 やらないです。そんなことやってる場合じゃないです。
-今着ているTシャツのロゴは?
井上 これはホワイトタイガーなんです。ネリの(愛称の『パンテラ』)ヒョウに対抗する意味。何回もデザインを替えてやっとこれにたどりついたんです。
-31歳の目標は。
井上 この試合をクリアすることができたら、夏と12月と3試合を今年はこなしたい。そこに向けてこの一戦も大事になる。計画通りいきたい。
-東京ドームということで入場や演出に何かこだわりは?
井上 そこも今回はこだわっていきたい。具体的にはまだ予定はない。
-4つのベルトを持っての防衛戦への思いは。
井上 4つのベルトを持って入場するシーンを見せられるのは、自分でも深い意味合いを感じる。バンタム級で4団体統一したけど、そのベルトを持っての試合はしていないので。今回は4つのベルトを掲げてリングに上がる姿をファンの方に見てほしい。
-米メディアのネリの最新インタビューで「井上は自信過剰だ」とか強気な発言をしているが。
井上 そのネリが本物ですね。
-「井上に勝って、次に勝てば引退する」とも言っていたが。
井上 志が低いですね。
-万が一のネリの計量オーバーに備えて、代替選手も準備しているようだが。
井上 日本では珍しいが、海外ではよくあること。そこは対応していきたい。