「5刀流レスラー」長野じゅりあがラストマッチに臨み、約2年半のプロレス人生に幕を閉じた。

最後の試合は普段からタッグを組んでいた宮本もか。

ともに空手経験者でもあり、これまでタッグでも息の合ったパフォーマンスを見せていた。第1試合にも登場し、この日2試合目となった長野だったが「燃え尽きるだけ」と大好きな相棒との最後の戦いを楽しんだ。

空手のポーズを決め、いつも以上に鋭い視線でにらみつけると、長い足を振り回し、相手の顔面にヒットさせた。宮本の瓦割りは回避したが、勝負に出た自らの旋風脚はブロックされ、逆に鴻臚館(こうろかん、滞空式ネックブリーカー)で3カウントを奪われ、リングに沈んだ。最後は武道をお互いに学んだものとして、正座であいさつ。その後は出場者全員と熱い抱擁を交わし、笑顔でリングを降りた。

長野 フル参戦できない中、(ファンが)温かく迎えてくれて。東京女子が本当に大好きになりました。私の中でかけがえのない2年ちょっとになりました。

5歳で空手を始め、18歳まで「ガチでやっていた」。小学生の時に糸東流の世界選手権で優勝。高校卒業から現在も現役の看護師として病院に勤務している。俳優、タレント、ユーチューバーとしても活躍しながら、さらに活動の場を広げるべく22年1月にプロレスデビューを果たした。

朝6時に起きて病院に出勤、夕方プロレス道場で練習し、深夜に帰宅してユーチューブの編集。プロレスのない日にはオーディションとフル回転の毎日にも「全部100%で好きだから」と手を抜かなかった。

昨年1月に指を骨折した際には、片手で点滴を作り、キックのトレーニングを欠かさなかったほど、すべてに全力だった。

そんな長野でも限られている時間の中で、すべてを満足にやっていくことは難しかった。「芸能の仕事に力を入れていく中で、プロレスが中途半端になるのが嫌だった」と、今年1月に卒業を決めた。「もっともっと勝ちたかったし、悔しい思いもいっぱいしたけど、全力で突っ走って来られたので…。悔いはないです」。今後は看護師に俳優、グラビアの仕事が中心となる。将来は空手道場の夢もある。「東京女子に入ったことは、死ぬまで絶対に活きると思う。私はホントに幸せでした 押忍!」。大好きな東京女子を応援しながら、新たな夢に向かって再び走りだす。