元K-1スーパーバンタム級王者でプロボクシングWBO世界バンタム級5位の武居由樹(27=大橋)が15日、横浜市の大橋ジムで5月6日、東京ドームの世界初挑戦に向けて公開練習に臨んだ。

同級王者ジェーソン・モロニー(33=オーストラリア)への挑戦を控え、シャドーボクシング、サンドバッグ打ちを消化。20年末から武居を指導する元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナー(41)は「戦う前なので詳しい内容は言えないが、王者のモロニー繊手には3つの欠点がある」とズバリ指摘した。

スピード、攻守を含めたテクニック、経験とバランス良く高いレベルにあるモロニーへの挑戦となる。ボクシング転向から8勝(8KO)無敗で迎えた世界初挑戦のため、戦前予想は不利との声が出ている。それでも八重樫トレーナーは「引き出しの1つ、2つ増えたところ。この期間で引き出しが多くなったのは、勝率が少し上がったと思う。あくまでも不利でいきたい。リングに上がってフタを開けてみて『ああ、こんなものなんだ』と思ってくれたらいい」と不敵な笑みを浮かべた。

八重樫トレーナーの分析に呼応するように、武居も自信をのぞかせ、平常心を貫いた。スパーリングなどの実戦を積みながら成長の手応えをつかんでおり「全然、不利(予想)で大丈夫。何となく、前よりも少しずつ勝率は上がっているのかなと思う。でも全然、油断はしていない」と、あらためて気持ちを引き締めた。

所属ジムの大橋秀行会長(59)は「よく不利とか、有利とか言うけれど、あんまり挑戦者で有利はないもの。うちの選手で挑戦者なのに有利と言われたのは井上尚弥ぐらい。不利なのが世界挑戦。その中では武居由樹が面白い挑戦者。1発で終わらせるパンチがあるし、いろいろな展開が予想できる数少ない選手。ボクは有利だと思うが、一般論では不利だと思う。ひっくり返してほしい」と後押ししていた。【藤中栄二】