元K-1スーパーバンタム級王者でボクシングWBO世界バンタム級5位の武居由樹(27=大橋)が、全KO勝ちによる世界奪取指令を受けた。

5月6日、東京ドームで同級王者ジェーソン・モロニー(33=オーストラリア)に挑戦する。15日に横浜市の所属ジムで練習を公開し「相手は強い王者。気を抜いてリングに上がったら絶対に倒される。その部分で危機感を持っている。他の雑念を削って試合に集中したい」と意気込みを示した。

ほどよい緊張感、危機感を持つ武居に向け、所属ジムの大橋秀行会長(59)から指令が出た。21年のボクシング転向から8勝8KOで到達した世界初挑戦。同会長は「東京ドームの世界初挑戦でKOし、全KO勝ちで世界王者になってほしい。不利なのが世界挑戦。その中で武居は面白い挑戦者。僕は有利だと思うが、一般論では不利だと思う。それをひっくり返してほしい」とハードルを設定。師匠の言葉を受け、武居も「ファンに楽しんでもらいたいし、長いラウンドもやりたくない。KOでばちっと倒して世界王者になりたい」と言葉に力を込めた。

武居を指導する元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナー(41)は「詳しい内容は言えないが、モロニー選手には3つの欠点がある」と指摘。スパーリングなどを通じて武居の成長を実感しており「勝率は上がっている」と後押しした。K-1王者初のボクシング世界王座獲得へ、武居は「ここで取る」と必勝モードで大舞台に備える。【藤中栄二】

◆キック出身の主なボクシング世界王者 スーパーライト級王者としてムエタイ無敵を誇ったセンサク(タイ)は75年7月、転向3戦目でWBC世界同級王者フェルナンデス(スペイン)に8回KO勝ちし世界王者に。3戦目での世界王座奪取は最短記録。ムエタイ3階級制覇のウィラポン(タイ)は95年9月に転向4戦目でダオルン(タイ)に判定勝ちしWBC世界バンタム級王座を獲得。元WBO、WBC世界ヘビー級王者のビタリ・クリチコ氏もK-1参戦経験のあるキックからの転向組。