プロボクシングWBA世界フライ級3位の桑原拓(29=大橋)が日本ボクシングコミッション(JBC)公認の日本所属ジム100人目の世界王座獲得に絡む姿勢を示した。5月6日、東京ドームで初防衛戦となる同級王者のユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)への挑戦を控え、16日には横浜市の所属ジムで練習を公開した。シャドーボクシング、サンドバッグ打ちなどを披露した桑原は、JBC公認の日本所属ジム世界王者が98人になっていることに言及した。

5月4日、エディオンアリーナ大阪でIBF世界バンタム級1位西田凌佑(六島)が同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に挑戦する。西田が勝てば99人目。同6日に世界初挑戦する桑原は100人目のチャンスとなるだけに「西田選手が勝てば僕が100人目ですよね。ぜひ勝ってほしい。全力で西田選手を応援しています。このタイミングで決まったということは狙いたい気持ちが強い」と口調を務めた。

桑原と同じ興行ではWBO世界バンタム級5位・武居由樹も同級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)に挑戦。試合順で先になる予定の桑原が世界王座を獲得すれば99人目となる。「もし西田選手が負けてしまっても、僕が取って次の武居由樹が100人目になればうれしい」と強調。西田が負けた場合でも同門の100人目を“アシスト”する意欲をみせた。

21年7月、桑原は当時の日本王者だったユーリ阿久井に挑み、10回TKO負けを喫しており、約2年10カ月ぶりの再戦となる。前回対決では1回に右カウンターでダウンを喫しながらも持ち前のスピードと手数を生かしながら競り合い、最後に右ストレートを浴びたところでレフェリーストップ負け。担架で運ばれて控室に戻った屈辱も味わった。桑原は「前回、倒されているので倒し返したい気持ち強い。そこで気合が入り過ぎないように。絶対にいつかリベンジマッチしたいと。それをやるなら日本王座よりも上の舞台でやりたかった。ユーリ選手にアタックできる位置までいくぞと思い、ボクシングしていた」とリベンジへの強い気持ちを口にした。

世界初挑戦まで残り3週間となった。桑原は「コンディションは今まで1番ぐらい。メンタルが良くて今、ボクシングやっていて楽しい。世界戦に向けた時間が充実して楽しい」と自信に満ちた笑顔を浮かべた。所属ジムの大橋秀行会長(59)は「気合の入り方が違う。今の桑原はすごく今、気持ちの面も伸びてきている。ここまで来ればハートの戦いになる。桑原のハートの強さに期待したい」と成長ぶりに目を細めていた。