ボクシングWBA世界フライ級3位桑原拓(29=大橋)が所属ジムの国内タイ記録達成へ、先陣を切る世界王座獲得を狙う。

5月6日、東京ドームで同級王者ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)に挑戦する。同興行で桑原を含めて同門4人が世界戦に臨み、同じ時期に同一ジムから世界王者4人が誕生すれば国内最多タイ。世界戦の試合順が1番手予定の桑原は16日、横浜市の所属ジムで練習を公開し、同門を全勝に導く世界王座獲得を誓った。

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すべての重圧をはねのける覚悟がある。約34年ぶりに東京ドームで開催されるボクシング興行。国内初となる4大世界戦の1番手を務める予定の桑原は「スケールが大きすぎて、まさか東京ドームで世界戦をやるとはデビュー前は想像していなかった。うれしい気持ちと感謝の気持ち。どんな会場でもリングに上がれば吹っ切れる」と自信の笑みを浮かべた。

同興行では桑原の他、同じ大橋ジム所属の4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(31)、WBA世界バンタム級王者井上拓真(28)が防衛戦、WBO世界バンタム級5位武居由樹(27)が新王座獲得に挑む。全員勝てば同門の世界王者4人が同時期に誕生する。過去、帝拳ジムで4人が世界王座を保持した最多記録に並ぶ。もちろん、同日に世界戦4連勝となれば史上初だ。桑原は「何でそんなにプレッシャーをかけるのですか。でも、もちろん自分が勝って(所属先が)日本一のジムになるよう頑張る」と気合を入れ直した。

21年7月、当時の日本王者ユーリ阿久井に挑み、10回TKO負けを喫した。今回は約2年10カ月ぶりの再戦となる。初対決は1回に右カウンターでダウンを喫しながらもスピードと手数で競り合い、最後に右強打を浴びてレフェリーストップ負け。担架で運ばれる屈辱も味わった。「前回、倒されているので倒し返したい気持ちが強い。僕はこれまでにない気合が入っているし、リベンジを果たしたい。1度負けた相手にリベンジする難しさはあるが、すべて乗り越えて夢の世界王者になる」と気を引き締めていた。【藤中栄二】

◆同一ジムの4人世界王者メモ 過去3度、帝拳ジムで実現。12年7月~同10月まで西岡利晃(WBCスーパーバンタム級)、粟生隆寛(WBCスーパーフェザー級)、山中慎介(WBCバンタム級)、五十嵐俊幸(WBCフライ級)が保持したのが初。14年12月~15年11月まで山中、三浦隆司(WBCスーパーフェザー級)、ホルヘ・リナレス(WBCライト級)、カルロス・クアドラス(WBCスーパーフライ級)が同時に世界王者に。また15年11月~16年3月まで山中、クアドラス、リナレス、木村悠(WBCライトフライ級)が同時にベルト保持。