プロボクシングWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)が、返り討ちによる初防衛成功に自信を示した。5月6日に東京ドームで同級3位桑原拓(29=大橋)の挑戦を受ける。18日、スパーリング合宿先となる東京・新宿区の帝拳ジムで練習を公開。シャドーボクシング、ミット打ち、サンドバッグ打ちなどで汗を流した。

4月1日から約1カ月の予定で都内でスパーリング合宿を積んでおり「ベストを尽くして自分の力を100%出すのみ。圧倒したいのが1番ある。相手がいることですが、どうコントロールするか、そういう練習をしてきた。世界王者として初めて臨む試合。王者として迎え撃ち、挑戦者を退けたい」と言葉に力を込めた。

21年7月には日本同級王者として桑原の挑戦を受け、10回TKO勝利を挙げて2度目の防衛に成功している。プロキャリアでは初めてのリマッチとなるが「いつも通りやるだけ。やりにくさも別にない。前回やった時はスピードがすごくあった印象だったが、最近はパワーもあって1発で倒している試合もある。そこは警戒したい」とポイントを挙げた。

ユーリ阿久井に負けてからの桑原は5勝(4KO)の戦績で、東洋太平洋同級王座も獲得している。同学年となる相手の試合をコンスタントにチェックしてきたというユーリ阿久井は「駆け引きするようになってきたなと。技術面の勝負で、どっちがペースを握るのかになるのかな」と分析。桑原の口から出ている「(ユーリ阿久井の)パワー対(桑原の)スピード」との構図については「ぶっちゃけ、こっちはパワーではないので。そういう構図はどうかなと。相手もテクニックはあるので、技術が一番大事かなと思う」と技術戦を想定している。

今年1月にエディオンアリーナ大阪で無敗王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)を下して新王者となった。同興行では、WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(32=BMB)、無敗の格闘家でWBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)と同時出場という大舞台での世界初挑戦、初奪取となった。

「初めて大きい会場で試合しましたが、すごく楽しかった。自分は実は、こういう舞台に向いていたんだなと感じました」と、ビッグマッチ向きのメンタルであることを強調。約34年ぶり開催となる東京ドームでのボクシング興行に出場するモチベーションの高さを口にした。【藤中栄二】