ボクシングWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)が日本人1号となる東京ドームでの世界王座防衛成功を目指す。5月6日、同会場で同級3位桑原拓(29=大橋)の挑戦を受ける。18日に実戦合宿先となる都内の帝拳ジムで練習を公開。4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)-WBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)戦を含む4大世界戦の最初のカードとして予定される初防衛戦に向け、自らの大舞台での強さを口にした。

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今月1日から1カ月間の予定で都内でスパーリング合宿を積むユーリ阿久井は初防衛への手応えを口にした。挑戦者陣営となる大橋ジムの大橋秀行会長(59)らが視察する中、軽快なミット打ちを公開。「ベストを尽くし、力を100パーセント出すのみ。圧倒したい。世界王者として初めて臨む試合。王者として迎え撃ち、挑戦者を退けたい」と自信たっぷりの表情を浮かべた。

90年2月、元統一ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)の防衛戦以来、約34年ぶりとなる東京ドームでのボクシング興行。過去、日本人世界王者が防衛戦に臨んだことはない。今回は一気に日本人3王者が登場し、ユーリ阿久井は1番手として防衛戦に臨む。1月にエディオンアリーナ大阪で無敗王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)を下して世界王座を獲得。同興行は2団体統一ライトフライ級王者寺地拳四朗(32=BMB)、WBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)との同時出場で大舞台を味わった。

ユーリ阿久井は「前回は初めて大きい会場で試合しましたが、すごく楽しかった。自分はこういう舞台に向いていたんだなと感じました」と強調。日本人王者第1号となる世界王座防衛成功に自信をみせた。東京ドームの前身・後楽園球場では1954年(昭29)5月、世界フライ級王者白井義男がレオ・エスピノサ(フィリピン)を下して防衛成功後、日本人王者の防衛はなかった。ユーリ阿久井が日本ボクシング「原点」の地で約70年ぶりの防衛成功を目指す。【藤中栄二】

〇…桑原陣営の大橋会長は王者の技術力向上に驚いた。21年7月に日本フライ級王者として桑原の挑戦を受けた当時のユーリ阿久井と比較し「パンチがシャープになった。前回とは、まるで別人。粗い印象だったが、技術も相当なもの。まるで(元WBC同級王者)勇利アルバチャコフのようだ」と解説。王者のリングネームに由来する勇利の名を挙げた。また後楽園球場の跡地・東京ドームで開催されるカードとなるため「伝説のフライ級。白井さんにささげる素晴らしい試合になる」と激戦を予想した。