ボクシングの東洋太平洋ミニマム級1位田中恒成(19=畑中)が今日30日、東京・後楽園ホールで、東洋太平洋王座の国内最速記録更新に挑む。プロ4戦目での挑戦で、勝てば井上尚弥、八重樫東らの5戦目の記録を塗り替える。29日には都内で計量に臨み、同級王者原隆二(24=大橋)と対面した。ミニマム級の国内最強を証明し、世界挑戦への足がかりとする覚悟だ。

 計量をクリアし、原と握手を交わすと、田中の表情は一気に引き締まった。勝てばWBC世界ライトフライ級王者井上、前同フライ級王者八重樫らの国内記録を塗り替える注目の一戦。「あとはやるだけ。記録ではなく、試合に勝つことだけに集中している」。あどけなさが残る19歳は、言葉に力を込めて言い切った。

 高校4冠の実績を引っ提げ、鳴り物入りでプロ転向した。デビュー戦、2戦目と立て続けに世界ランカーを撃破。記録を意識しつつ、ランキング1位として原の前にたどり着いた。名古屋から上京した畑中清詞会長は「スピードは最近では井岡(一翔)、井上に匹敵するレベル。東京のファンや関係にゆっくり見てほしい」と自信満々に話した。

 立ちはだかる原も高校4冠で、プロでも18戦全勝の実力者。田中も「苦しい試合でも勝つ選手」と最大限の警戒でリングに上がる。初の12回戦とあり、117回のスパーリングを消化し、スタミナ強化に取り組んできた。「スピードは自分が上。『日本一多くの人に応援してもらえるボクサーになる』という夢のため、多くの人に見てもらいたい」と気合十分だ。

 畑中会長は、今回の試合を乗り越えれば、こちらも国内最速となる5戦目での世界挑戦をさせたい意向。若きホープが、拳で未来をこじ開ける。【奥山将志】

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜県多治見市生まれ。小学5年時にボクシングを始め中京高では高校4冠。13年11月に畑中ジムからプロデビュー。戦績は3勝(1KO)。162センチの右ボクサーファイター。中京大学在学中で、家族は両親と兄、妹。