大相撲の大関高安(29=田子ノ浦)が26日、名古屋市内の部屋で、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と三番稽古を行った。

名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて現地入り後、同親方と相撲を取るのは初めてだったが、計13番で6勝7敗と互角。体を投げ出して寄り切るなど気迫十分で、途中4連勝も記録した。最後に2連敗して負け越したが「(荒磯親方に)東京でも稽古をつけていただいて、いい状態で名古屋に来ることができた。体をしっかりと仕上げて、自信を持てるような稽古をしていきたい」と、27日から3日連続で行われる二所ノ関一門の連合稽古では、指名する相手こそ未定だが、初日から相撲を取っていく予定だ。

巡業のなかった6月も、都内の部屋で荒磯親方と三番稽古を重ねてきたという。「(5月の夏場所後)10日まではいかないけど、基礎運動の日をはさみながら胸を借りてきた。親方からもありがたいことに『いつでも稽古相手になる』と言ってくれるので」と、疲労を蓄積させることなく、ベースアップしてきた自負がある。

名古屋場所の稽古場は屋外で、夏の暑さは「大嫌いです」と断言する。だからこそ「自分の今までの経験を生かす。若手の時とは違う。ここでの稽古は体力の消耗が激しい。その辺も考えて、長時間やって体力をつける時もあれば、メリハリをつけて、集中して出し切るのも、いい稽古になる時もある」と、体の状態と相談しながら、量と質を求めていく。

この日と同様、新番付発表後、最初の三番稽古で、先場所前は荒磯親方に1勝20敗と大きく負け越していた。その時と比べれば、大幅に好成績だった。胸を出した荒磯親方も「はじいた時の強さが強い。僕もはじき飛ばされないように必死だった」と、仕上がりの早さを実感していた。

荒磯親方は1月の初場所で引退後も、高安の稽古相手を務めるために筋力や体の厚みを維持してきた。自身の仕上がりについては「どうだろう。成績を残しているわけじゃないから」と笑いつつ、衰えを見せないように努めてきた自負がある。それだけに、この日の高安の稽古内容には納得顔だった。同親方は続けて「相撲はちょっとしたことで大きく変わる。立ち合いの角度が何ミリ、タイミングが0・何秒で違ってくる。(はまれば)良くなるのも早いし、悪くなるのも早い。惰性で30番、40番取らないこと。彼に大事なのは集中」と力説。初優勝を期待していた。