東前頭7枚目明生(25=立浪)が、平幕の徳勝龍を寄り切り、自己最長を更新する初日から5連勝を飾った。昨年12月には茨城・つくばみらい市の部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生。満足な稽古ができない時期を乗り越え、5年連続で初優勝力士が誕生している初場所で、旋風を巻き起こす。全勝は大栄翔、明生、明瀬山の平幕3人。大関貴景勝が初白星を挙げた。

  ◇  ◇  ◇

25歳のホープ、明生の勢いが止まらない。徳勝龍に右上手を取られたが、下手で振ってまわしを切る。右で前みつをがっちりつかみ、休まず攻めた。「胸を合わせたくなかった。合いかけたけど(上手を切って)すぐに対応できた」。初日から5連勝は自身初だ。

場所前はコロナ禍に直面した。昨年の12月、部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生して兄弟子の幕内力士、天空海ら計11人が入院。部屋全体の稽古は約2週間休みとなった。

その中でも「やれることは限られていたけど、逆にやれることをやっていれば大丈夫」と信じて、調整を進めてきた。休みの間は弟弟子で平幕の豊昇龍とともに稽古場に降りて、おのおので四股やすり足などの基礎運動に励んだ。1日2時間たっぷり汗をかき、夕方には部屋内のトレーニングルームを使って体を追い込む。入院中の力士とはSNSで連絡を取り合い、互いを鼓舞してきた。「みんな(症状が)悪化せずに戻ってきてくれたので良かった」と安堵(あんど)の表情。仲間たちと苦難を乗り越えてきた。

今は幕内下位だが、19年九州場所には西前頭2枚目まで番付を上げ、三役を目前としていた。1年前の初場所で、左上腕の負傷により初めての休場を経験。十両落ちも経て「けがをしてから相撲を取れるありがたさを感じる」と、感謝の思いを持って土俵に上がる。16年の琴奨菊から5年連続で初優勝力士が誕生している初場所。初の賜杯を目指す明生に“ジンクス”継続の期待がかかる。【佐藤礼征】